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不適切保育研修を実施するには?研修内容や事例、講師の探し方を解説

不適切保育研修を実施するには?研修内容や事例、講師の探し方を解説
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近年、こども園、保育園、幼稚園での「不適切保育」の話題がメディアを騒がせています。

不適切保育が発生する原因には様々ありますが、職員自身が、自らの保育が不適切保育だと認識せずに行っている例もありますし、自らの保育や周りの職員の保育に対して疑問を抱きつつ、人間関係の悪化を恐れて指摘できなかったり、日々の忙しさから放置してしまっている場合もあるのではないかと思います。

また、実際に不適切保育が発生した際の対応について、「完璧に準備できている」と言える園は皆無ではないかと思います。

不適切保育を防止すること、また、不適切保育が発生した際の対応は、職員1人1人が意識しながら、園全体が一丸となり、同じ目標に向かって進めることが重要です。そのために重要となってくるのが、研修です。

研修を実施しなかったり、その内容が充実していない状況で不適切保育の問題が発生すれば、園は混乱に陥り、保護者からの信頼を失う事態となることは避けられません。

この記事では、不適切保育の研修に関して、その目的や必要性、研修によって実現すべきことやその内容について解説します。さらに、弁護士法人かなめが実施する不適切保育に関する研修についても、併せて紹介していますので、不適切保育に関する研修の講師を探している事業所の皆さんは、参考にしてください。

それでは、見ていきましょう。

 

【参考情報】保育園・幼稚園・こども園など幼保業界における弁護士の必要性や探し方、費用などについては、以下の記事で事例付きで詳しく解説していますので参考にしてください。

保育園・幼稚園・こども園の顧問弁護士!弁護士の必要性や費用の相場を解説

 

1.不適切保育における研修とは?

不適切保育における研修とは?

以下では、不適切保育において、研修のもつ意味や目的について解説します。

 

1−1.不適切保育における研修の意味

園で勤務をされている皆さんは、それぞれ、保育、教育に対して、それぞれ理念を持ち、児童の健やかな成長や養育のために、日々の業務に取り組んでいらっしゃると思います。「自分の言動は不適切保育に当たる」と明確に意識しながら、保育を提供している職員はいないでしょう。

しかしながら、中には、保育に対する知識の不足等により、知らず知らずの間に、児童に対して不適切な声かけや行動をとってしまう職員もいます。また、「自分の言動は不適切保育に当たらないか」「あの人のあの言動は問題があるのではないか」と、気になる出来事がありながらも、日々の業務の忙しさから、反省したり、周りに相談するタイミングを逃してしまうこともあるかもしれません。

そのため、定期的に不適切保育における研修を実施し、その中で、職員同士で知識や経験の共有をすることにより、不適切保育に関する正しく理解した上で、日々の保育を健全なものとしていくことができます。

 

1−2.不適切保育における研修を実施する目的は?

不適切保育における研修を実施する目的は、不適切保育に関する正しい理解を身に付け、日々の保育に活かしていくことのみならず、万が一不適切保育が発生してしまった場合、園としてどのように対応すべきかを、事前に職員間で共有しておくという目的もあります。

不適切保育、または、その疑いが発覚した時点で、園は混乱に陥ります。児童の保護者からのクレームや、行政からの調査、場合によっては報道機関からの取材など、様々な対応を迫られた時、最も重要なことは、対応方針を明確に立てることです。

不適切保育における研修の目的は、そもそも不適切保育自体を防止するだけでなく、万が一不適切保育、または、その疑いが発覚してからの対応方針策定や、対応の優先順位、実際の対応方法を事前に学び、有事に備えることにあるのです。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

災害に備えた防災訓練等を、定期的に実施されている園は多いのではないかと思います。しかしながら、保育事故の発生や、不適切保育の発生時の訓練を行っている園は、ほとんどないのではないでしょうか。

 

保育事故の発生も、不適切保育の発生も、災害と同じく、園の存続を脅かしかねない重大な事象です。これらに対応するため、事前のマニュアル策定や、マニュアルに基づいて、実際に保育事故や不適切保育が発生した際の対応の訓練を行うことは非常に重要であり、研修も、この訓練の1つであると考えていただければと思います。

 

 

2.不適切保育の研修の内容とは?

以下では、不適切保育における研修の内容について解説します。

 

2−1.不適切保育の研修と言っても内容は様々

1−2 不適切保育における研修を実施する目的は?」でも解説した通り、不適切保育の研修は、不適切保育が起こる前と起こった後の両方の観点が含まれます。

研修時間やテーマにより、これらを組み合わせて実施することになりますが、大まかな内容の分類としては、以下のものが挙げられます。

 

  • (1)どのような言動が不適切保育になるか
  • (2)不適切保育が発生した場合の対応方法
  • (3)不適切保育の実際の事例の紹介・検討
  • (4)不適切保育に関する裁判例の紹介:検討
  • (5)不適切保育を防止する方法

 

以下で、具体的に解説します。

 

2−2.不適切保育の研修の内容

 

(1)どのような言動が不適切保育になるか?

まずは、不適切保育の正しい理解のため、どのような言動が不適切保育に当たるかについて、研修を実施します。

例えば、全国保育士会が提供する「保育所・認定こども園等における人権擁護のためのセルフチェックリスト(pdf)」などを利用すれば、参加する職員が、自らの言動を振り返りながら、どのような言動が不適切保育に当たるかを学ぶことも可能です。

 

▶️参考:不適切保育のチェックリストについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

不適切保育のチェックリスト!作成方法や具体的な活用方法の詳細解説

 

 

(2)不適切保育が発生した場合の対応方法

不適切保育が発生すると、様々な対応が一気に発生し、同時並行で対応していく必要があります。

例えば、不適切保育の内容や状況の調査の他、被害の訴えがあった児童の保護者への対応、その他の在園児の保護者への対応、不適切保育を行った職員への指導や処分の他、行政や、報道機関、警察への対応が求められる場合もあります。

混乱を最小限に抑えるためには、早急に対応方針を立てた上で、職員間で情報共有し、優先順位を考えながら1つ1つ丁寧に対応していくことが重要です。

研修の中では、まずは各対応の要点を押さえた上で、それぞれの対応の相互関係などを学ぶことができます。

 

(3)不適切保育の実際の事例の紹介・検討

不適切保育については、実際の事例を知ることで、自らの言動と比較し、まさに「人のふり見て我が振り直す」ことが可能です。

ニュース等で報道された事例の他、実際に園内で発生した事例があれば、非常に有益な教材となります。また、例えば、「このような言動は不適切保育に当たるのか?」と、疑問を持っている事例や言動を、職員各自が出し合い、研修の場で職員同士で検討することで、不適切保育に対する理解が深まることになります。

 

▶️参考:なお、不適切保育の事例に関しては、以下の記事でも紹介していますので、併せてご覧ください。

不適切保育の事例!幼保現場で発生する種類や具体例を徹底解説

 

 

(4)不適切保育に関する裁判例の紹介

不適切保育が発生した際、実際に裁判所でどのように認定される可能性があるか、また、園側がどのような責任を負う可能性があるかを学ぶことも非常に有益です。

特に、弁護士等の専門家が講師を担当することで、参考になる裁判例をもとに、法的な責任を問われる際のポイント等の解説を受けることもできます。

 

(5)不適切保育を防止する方法

どのような行為が不適切保育に当たるかを、チェックリストや事例、裁判例などから学んだ上で、そもそも不適切保育を防止するためにはどうすべきかについて学ぶことも、研修の重要なテーマです。

例えば、「(1)どのような言動が不適切保育になるか?」で紹介した「保育所・認定こども園等における人権擁護のためのセルフチェックリスト」には、不適切な声掛けや言動に対して、言い換え等の方法が提案されており、参考になりますし、職員間で「私はこういう時はこのように対応するよ」「このようなことがあったら、応援を要請してね」というような意見交換をすることで、職員それぞれが不適切保育に対する意識を高め、お互いに助け合う空気を醸成することも可能です。

また、自園において、何をもって「不適切保育」とするのかを議論することも有益です。

 

2−3.自治体等が提供する研修

地方公共団体のホームページなどを見ると、各自治体が、不適切保育に関する研修を提供している場合があります。

例えば、大阪府は、「大阪府認可外保育施設職員研修会」として、「認可外保育施設における不適切保育等を防止するためのマネジメントについて」をテーマにした研修を実施し、研修動画をアップロードするなどしています。

 

▶️参照:大阪府「大阪府認可外保育施設職員研修会」

 

 

研修は、集合研修として、実際に会場に赴いて行われる場合もあれば、リアルタイムでの動画配信、リアルタイムで実施した研修会の動画配信など様々であり、講師も、実際に園を運営している社会福祉法人やNPO法人の関係者や、大学の教授、弁護士など様々です。

テーマについては、「2−2.不適切保育の研修の内容」で挙げたようなテーマが、網羅的、又は、いずれかのテーマにスポットを当てて提供されています。

実際に会場で行われるものは、日時や定員が決まっていますし、動画配信等は期間限定であるものも多いため、地元の自治体のホームページ等はこまめにチェックをいただき、求めているテーマや講師からの研修を見逃さないようにしましょう。

 

3.不適切保育の研修に強い講師の選び方

以下では、不適切保育の研修を効果的に実施するための講師の選び方について解説します。

 

3−1.幼保業界に強い弁護士を選ぶメリット

幼保業界に強い弁護士を選ぶメリットには、以下のような点があります。

 

(1)幼保業界の専門知識・よくある問題に精通

研修において重要なことは、いかに現場に精通し理解しているかです。

一般的な不祥事対策の研修は、通常の弁護士であれば可能な場合も多いですが、幼保業界には特有の専門知識が多数あり、現場に寄り添ったものでなければ、職員の皆さんの理解は得られません。

そこで、幼保業界に強い弁護士が研修を担当することで、より現場に寄り添った研修の実施が可能となります。

 

(2)関連する法律に精通

幼保業界は、その業態によって適用法令が異なるなど、非常に法制度が難解です。

幼保現場において、より正確な研修を実施しようと思えば、法令の理解は不可欠であるところ、弁護士は法律の専門家ではあるものの、特定の分野の法令に詳しい弁護士は一握りしかいません。また、実際に不適切保育が発生時の対応の経験をしたことのある弁護士でなければ、リアリティのある研修はできないはずです。

そのため、幼保業界に強い弁護士が研修を実施することで、より正確な知識や理解を得ることができるようになります。

 

(3)行政対応にも精通

不適切保育の場面などでは、行政への対応も非常に重要となってきます。

多くの園では、行政への対応について大きなストレスを感じているのではないでしょうか。幼保業界に詳しい弁護士であれば、報告内容や報告のタイミング、行政から調査が入る際の対応方法などについても詳しく解説ができますので、職員の皆さんの不安の解決に直結する研修を実施することができます。

 

(4)労働問題や労務管理にも精通

不適切保育への対応の場面では、不適切保育を行った(又は不適切保育を行ったと疑われている)職員への指導や処分なども重要となり、場合によっては、自宅待機をさせた上で調査をしたり、懲戒処分をする、などの対応が必要となる場面があります。

労働問題は、職員との間で後に大きな紛争となる可能性もあるため、労働法の正確な知識をもとに、慎重に対応する必要があります。

幼保業界に詳しい弁護士が講師を担当することによって、後の労働紛争を防止しながら不適切保育に対応していく方法ついて、詳しく解説を受けることができます。

 

3−2.講師(弁護士)の探し方

では、幼保業界に強い弁護士は、どのように探せばいいのでしょうか。

 

(1)ホームページ

まずは、インターネットで、幼保業界に強い弁護士を検索してみることが最も近道です。

気をつけるべき点としては、「幼保業界に強い弁護士」と検索した場合、保護者側の対応を専門としている弁護士と、園側の対応を専門としている弁護士がいることです。どちらの弁護士がいい、ということではありませんが、園として、不適切保育等に対応するための研修を受けるのであれば、園側の対応を専門としている弁護士を選び、その経験やノウハウを学ぶことが非常に重要です。

また、ホームページを検索をすると、県外の弁護士などがヒットする場合もありますが、弁護士によっては、直接現地に赴くだけではなく、オンラインでの研修対応をしている場合もありますので、まずは問い合わせをしてみることをお勧めします。

 

(2)口コミ

同業種の方から情報提供を受けることも非常に有益です。

園を運営されている事業者の皆さんは、様々な協会や団体に所属されており、その中で、情報交換をすることも多々あろうかと思います。

そこで同業種の方に、「研修を実施したいけど、いい講師を知らないか」などの問いかけをし、情報を集めると、実際に研修を受けての生の声や、研修後の効果なども併せて聞くことができます。また、所属する協会や団体が、実際に弁護士を講師に呼んで研修をすることもありますので、このような情報を逃さないよう、同業種の方とは積極的な情報交換を心がけましょう。

 

4.弁護士法人かなめが担当した不適切保育の研修の事例紹介

実際に、弁護士法人かなめで実施した不適切保育の研修について紹介します。

 

4−1.【事例から学ぶ】保育事故・不適切保育発生時対応の実践と解説 主催:某市私立保育園会

 

●内容:実際の裁判例を題材にしながら、不適切保育問題発生時の対応項目について解説。

不適切保育発生時の基本方針の策定や、事実関係の調査、事実関係を調査した後の対応方法について、具体的な方法と併せて解説した。

 

▶参照:実際の研修で利用した資料の一部

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート1

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート2

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート3

 

4−2.不適切保育をなくすために~予防と発覚時の対応~ 主催:某社会福祉法人

●内容:不適切保育の種類や内容、不適切保育が発生してしまう原因や背景の他、不適切保育を防止するための取り組みについて解説。

加えて、不適切保育等に起因するクレームへの対応方法について解説した。

 

▶参照:実際の研修で利用した資料の一部

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート4

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート5

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート6

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート7

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート8

 

4−3.保育事故・不祥事対応!〜おさえるべき3つのポイント〜 主催:某私立保育連盟

●内容:不適切保育発生時の基本方針の策定、事実関係の調査、事実関係を調査した後の対応方法について解説した他、初動対応時のNG行動を具体的に紹介、解説した。

 

▶参照:実際の研修で利用した資料の一部

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート9

不適切保育の研修で利用した資料の一部 パート10

 

5.弁護士法人かなめが提供する不適切保育の研修講師サービスについて

弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

弁護士法人かなめでは、不適切保育の発生時、園にどのようなことが起こるのか、そして園がどのように行動すべきかについて、研修を実施しています。

園の職員は、保育に関する様々な研修を受けられていると思いますが、不適切保育が発生した場合の対応について、研修を受けることはほとんどないのではないかと思います。

しかしながら、災害等と同様、不適切保育はいつ発生するかがわからず、一度発生すれば、園の運営に大きな打撃を与える可能性があるものです。

そこで、定期的な研修を実施することにより、職員1人1人の不適切保育に対する意識を高めることが可能です。

また、不適切保育を防止する観点から、事前に職員の方にチェックリストを利用してセルフチェックをして頂き、その結果に基づいて研修を行うなど、園のニーズに併せた研修も実施しています。

この研修を受けることで、園として、職員としてどのように行動すべきかを事前に把握することができ、実際に不適切保育が発生した場合に冷静に対応ができるようになります。

実際には、以下のようなテーマで研修を実施しています。

 

  • 不適切保育と虐待についての具体的な事例の紹介
  • 保育方針・園の理念に基づく保育の実施の重要性
  • 不適切保育を放置するとどうなるのか?
  • 不適切保育・虐待等の不祥事発生時の対応方法
  • 初動ミスが人命に関わる:自殺裁判事例から学ぶ
  • 不祥事に関わった職員への対処法
  • 保護者説明会の実施の当否
  • 行政対応のポイント
  • マスコミ対応のポイント

 

不適切保育に関する研修については、弁護士法人かなめの「かなめ研修講師サービス」の以下のページをご覧いただき、お問い合わせください。

 

幼保版かなめ研修講師サービス

 

▶️参考:幼保特化型弁護士による幼保業界向け研修講師サービスはこちら

 

 

6.まとめ

この記事では、不適切保育の研修に関して、その目的や必要性、研修によって実現すべきことやその内容について解説しました。

研修は、その場限りの学びに終わることなく、日々の業務へどのように活かし、また、実際に不適切保育が発生した際に実践できることが重要です。

弁護士法人かなめでは、不適切保育の防止と同じ程度に、不適切保育発生時の対応にしっかりスポットライトをあて、いわば「不適切保育の防災訓練」のような研修を実施しています。不適切保育の研修の実施を検討している園の皆さんは、是非お問い合わせ下さい。

 

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この記事を書いた弁護士

幼保業界に特化した「弁護士法人かなめ」運営の法律メディア「かなめ介護研究会」

畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
企業側の立場で幼保事業所の労務事件や保護者対応事件を担当した経験から、幼保事業所での現場の悩みにすぐに対応できる幼保事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、幼保業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「幼保事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。
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中野 知美なかの ともみ

弁護士

出身大学:香川大学法学部法律学科卒業/大阪大学法科大学院修了(法務博士)。
幼保事業所からの相談を数多く受けてきた経験を活かし、一般的な法的知識を幼保現場に即した「使える」法的知識に落とし込み、わかりやすく説明することをモットーとしている。保育事故、カスタマーハラスメント、労働問題、行政対応など、幼保現場で発生する多様な問題に精通している。

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