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保育園・幼稚園のバス置き去り事故はなぜ起きる?対応や防止策を解説【事例付き】

保育園・幼稚園のバス置き去り事故はなぜ起きる?対応や防止策を解説【事例付き】
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保育園、幼稚園を運営する中で、保育事故は避けることができない重大な問題です。

特に近年は、バスへの置き去り事故がニュースを騒がせており、バスへの置き去りにより、園児が亡くなるような痛ましい事故も発生しています。

このような、センセーショナルな保育事故が発生した場合には、通常の保育事故よりも保護者の方々への対応は難しくなりますし、場合によっては警察・行政対応やマスコミ対応が発生することもあり、これらの対応も慎重に行わなければなりません。

そして、当然のことながら、バスへの置き去り事故により園児が怪我をし、園の過失が認められれば、当然、保護者に対して損害賠償義務を負うことになりますし、園児が亡くなってしまったような最悪の事態が生じた場合には、その金額は多額に及びます。また、これらと並行して、しっかりと事故の原因究明を行う必要もありますし、事故を起こしてしまった職員の不安やショックへの対応(メンタルケア)も重要です。

園としては、バスへの置き去り事故の発生時には、多くの問題にきめ細やかに、かつ迅速に対応をする必要があるのです。

そこで、この記事では、保育園、幼稚園で発生するバスへの置き去り事故について、どのような原因で発生し、また、これが発生することにより、どのような事態が発生し、これに対して、具体的にどのように対応すればいいのか、また、園にどのような責任が発生するのかについて解説します。また、実際に発生したバスへの置き去り事故の具体例や、実際にバスへの置き去り事故が発生してしまったみなさんは、ぜひ参考にしてください。

それでは、見ていきましょう。

 

1.保育園、幼稚園でのバスの置き去り事故とは?

保育園、幼稚園でのバスの置き去り事故とは?

実際に、保育園、幼稚園で発生する「バスの置き去り事故」とはどのようなものなのでしょうか。

 

1−1.バスの置き去り事故ってどんなもの?

保育園、幼稚園では、園児の登園、降園に、いわゆる「園バス」を利用していることがあります。通常は、バスが園に着けば、園児は自らバスから降りるか、園の職員が先導してバスから降ろすため、バスの中に園児が残ることはありません。

しかしながら、何らかの理由で、園児がバスの中に取り残された上、バスの扉を閉めてしまい、そのまま閉じ込められてしまうというケースがあります。これが、バスの置き去り事故であり、園児が長時間バスの中に閉じ込められることで、熱中症や脱水症状などで、園児の命が脅かされることもあります。

 

1−2.置き去り事故が起きるタイミングは?

置き去り事故が起きる最も多いタイミングは、登園時です。具体的には、バスが園に到着し、園児を降ろした際に、バスの中に園児が残っていることに気付かず、バスを駐車場等に停めて、そのまま置き去りにされるというケースです。

なお、降園時には、降車時の降車場所で保護者の方が迎えに来ていることから、置き去り事故は発生しないことが多いですが、降車場所に保護者の方がいない場合には、園児の降車が行われず、同様に閉じ込めの危険があります。

また、園外保育等で、バスを利用して移動する場合にも、バスに乗車している園児の存在に気付かず、置き去り事故が発生することがあります。

 

2.バスの置き去り事故の事例

近年、幼稚園、保育園でのバスの置き去り事故が多く報道されています。

以下では、実際に発生した事例について紹介します。

 

▶参考:保育園・幼稚園・認定こども園で発生したバスの置き去り事故の事例

年月 場所 園の種類 事故概要 状態
2022.9 静岡県 認定こども園 登園時、送迎バスに園児を置き去りにして施錠していたところ、帰宅の準備をしている際にバス内で倒れているのを職員が発見して発覚 熱中症により死亡
2022.3 滋賀県 市立幼稚園 登園時、前から3列目で眠る園児に気付かず車庫に戻る。約15分後、車庫での車内点検中に運転手が園児を発見したことで発覚 健康状態に問題なし
2021.12 埼玉県 認定こども園 夕方に座席で寝ていた園児を降車場所に降ろさず、園に戻って施錠していたところ、約20分後に園児が車内から窓を叩いているのを運転手が発見して発覚 怪我なし
2021.7 福岡県 私立保育園 登園時、送迎バスの車内に園児を置き去りにし、その後帰りのバスに園児が乗っていないことに園児の母親が気付き、連絡をして捜索したところ、園駐車場に停車中の送迎用バスの車内で園児を発見し発覚 死亡
2019.11 埼玉県 認定こども園 夕方に座席で寝ていた園児を降車場所に降ろさず、園に戻った後も職員らが気づかずにバスを施錠した。しばらくして車内で窓を叩く園児を他の保護者が見つけて発覚 怪我なし
2018.10 北海道 村営保育所 登園時、最後尾座席のチャイルドシートに座っていた園児に気付かず、運転士が休憩のためエンジンを切って自宅敷地内に駐車してバスを離れていた。2時間後、園児の保護者の知人が保育所を訪れ、園児がいないことに気付き、連絡を受けた運転士が車内で園児を発見したことで発覚 体調不良なし
2017.9 埼玉県 私立幼稚園 登園時、園児を園に降ろして駐車場に移動し、約5時間後、帰宅する園児を送る準備をしていた際に車内に園児1人が放置されていたことが発覚 健康上の問題なし
2007.7 福岡県 私立保育園 園外保育から戻った後、ワゴン車内に4時間放置された 熱射病により死亡

 

3.バスの置き去りはなぜ起こる?事故の原因は?

それでは、バスの置き去り事故が発生する原因はどこにあるのでしょうか。以下では、園側、園児側双方の事情による事故の原因について解説します。

 

3−1.園側の事情

 

(1)バスから全員降りたかどうかの確認不足

最も直接的な原因は、添乗員や運転士が、バス内に残っている園児がいないかどうかの確認を疎かにすることです。

例えば、バスの前方からバス内を見渡しただけでは、体の小さい園児や、寝ている園児などは目に入りません。また、送迎の際に、泣いている園児がいて気を取られている場合や、なんらかのイベント等があった場合には、本来行うべきバス内の確認を怠ってしまうことがあります。

実際に、2022年3月の滋賀県の事案では、送迎のお礼に園児から添乗員へプレゼントを渡す恒例行事の日で、通常実施している目視での車内の確認を行っていなかったことが原因で、置き去り事故が発生しています。

 

(2)出欠確認の不備

仮に、バス内に園児を置き去りにしてしまったとしても、本来出席しているべき園児が出席していない場合には、園児の所在を確認することが通常のように思われます。

しかしながら、実際には、保護者からの連絡なく欠席をする園児もいることから、欠席している園児であろうと即断して確認をしなかったところ、置き去りにしてしまったという例も多くあります。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

「出欠確認をしない」という点に関して、一見すると一方的な園の落ち度のように見えるかもしれません。

 

しかしながら、園児の登園、降園時には、おとなしい園児もいれば、泣き叫んでいたり、すぐにあちこちに移動してしまう園児もいます。そのような状態の中で、「(3)職員の人員不足」で説明する通り、園の職員は1人で多数の園児を見ていることから、出欠確認をすること自体が容易なことではないのです。

 

そのため、欠席の連絡のない園児が登園していないかどうかの確認をするのも一苦労であり、実際に登園していなかったとして、確認のために保護者の方に連絡をしても仕事中で出られず、確認ができないこともあります。保護者の中には「そんなことで連絡してこないで」と怒り気味で職員に応答する人もいるとのことです。

 

園としては、もちろん安全管理のため、出欠確認は厳格に行うべきですが、保護者の方に対しても、欠席時の連絡は必ずするよう徹底してもらうなど、協力を得ることが非常に重要となります。

 

 

(3)職員の人員不足

(1)バスから全員降りたかどうかの確認不足」「(2)出欠確認の不備」のような問題の多くは、職員の人員不足の問題に帰結します。

現在、幼保業界は慢性的に人手が不足しており、人員基準にギリギリ、またはそれすらも満たさない状態での保育を余儀なくされている場合もあります。

例えば、園児をバスから降ろす職員が、バス内に園児がいるかどうかの確認もしなければならないとなれば、泣いていたり、あちこちに走り回ってしまう園児に気を取られ、バス内の確認が疎かになってしまうことも多いのです。

 

3−2.園児側の事情

園児がバス内に置き去りにされてしまう理由としては、以下のような事情が考えられます。

 

  • 園児が乗車中に眠ってしまい、座席にもたれかかるなどしていることから、前から見ただけでは隠れてしまっていて見えない状態となっている。また、眠り込んでいる場合、他の園児が降り始めていることに気付かず、自発的に降りることがない。
  • 起きてはいるが、降車等のタイミングがわからず、降りられない。体が小さいため、起きていても座席に隠れていて見えない状態となっている。
  • かくれんぼをしているつもりで隠れてしまい、他の園児が降りていても降りずに隠れている。

 

園児は大人とは違います。「バスが園に着き、周りが降りていれば当然降りるだろう」という大人の理屈は通用しません。だからこそ、園として、バス内の確認や出欠の確認を徹底し、置き去り事故を防止する必要があるのです。

 

4.保育園、幼稚園が負う責任

バスの置き去りなどの保育事故が発生した際には、保育園、幼稚園にどのような責任が問われるのか、見ていきたいと思います。

 

4−1.法的責任

考えられる法的責任としては、以下が考えられます。

 

  • 1.民事責任
  • 2.刑事責任
  • 3.行政上の責任

 

(1)民事責任

民事責任とは、園が保護者との間で締結した保育契約に基づいて負う債務を履行しなかった場合に負う金銭賠償の責任です。

まず、根拠となるのは、民法415条1項です。

 

▶参考:民法415条1項の条文

(債務不履行による損害賠償)
第415条
1 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

参照元:「民法」の条文はこちら

 

 

園児の安全を守る義務、いわゆる「安全配慮義務」は、この保育契約に基づいて当然に発生する義務であることから、園がこの安全配慮義務に違反した結果、保育事故が発生したとなれば、園児に発生した損害の賠償義務を負うことになります。

また、職員の故意または過失により、園児に損害を与えた場合には、職員自身の不法行為責任に基づく損害賠償責任の他、使用者である園(法人)も、不法行為に基づく損害賠償責任を負います。

 

▶参考:民法709条及び715条の条文

(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(使用者等の責任)
第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

・参照元:「民法」の条文はこちら

 

 

(2)刑事責任

園自身は、刑事責任を追うわけではありませんが、職員が、業務上必要な注意を怠り、その結果バスの置き去り事故を起こし、その結果園児が体調不良や怪我の他、最悪の場合に死亡したような場合には、業務上過失致傷罪が成立し、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります(刑法211条)。

 

▶参考:刑法211条の条文

第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

・参照元:「刑法」の条文はこちら

 

 

このような場合、園には警察の捜査が入る可能性が高く、園に捜査員がやってきたり、職員らが事情聴取を受けることがあります。

 

(3)行政上の責任

園を運営する法人が社会福祉法人である場合、大きな保育事故が発生した際には、運営等に重大な問題があるとして指導監査等が実施されます。

特別監査の結果、なんらかの改善事項が発見されれば、改善勧告がされ、これに応じない場合は改善命令、業務停止命令、そして最終的には解散命令が出されることもあります。

死亡事故等の重大事故が発生した場合の指導監査等の実施の根拠法令は、以下の通りです。

 

死亡事故等の重大事故が発生した場合の指導監査等の実施の根拠法令

▶参照元:内閣府子ども・子育て本部参事官他「教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的な検証について」(pdf)7ページより引用

 

例えば子ども・子育て支援法では、監査の結果、問題が確認された場合には、改善勧告や改善命令をし、仮に改善が見込まれないような場合等には、特定教育・保育施設に係る確認を取り消したり、効力を停止する旨規定しています。さらに、確認が取り消された場合には、公示されることとなります。(▶参照:「子ども・子育て支援法38条・39条・40条・41条」の根拠条文)

 

▶参考:子ども・子育て支援法38条・39条・40条・41条

 

(報告等)
第38条 市町村長は、必要があると認めるときは、この法律の施行に必要な限度において、特定教育・保育施設若しくは特定教育・保育施設の設置者若しくは特定教育・保育施設の設置者であった者若しくは特定教育・保育施設の職員であった者(以下この項において「特定教育・保育施設の設置者であった者等」という。)に対し、報告若しくは帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命じ、特定教育・保育施設の設置者若しくは特定教育・保育施設の職員若しくは特定教育・保育施設の設置者であった者等に対し出頭を求め、又は当該市町村の職員に関係者に対して質問させ、若しくは特定教育・保育施設、特定教育・保育施設の設置者の事務所その他特定教育・保育施設の運営に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 第十三条第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について、それぞれ準用する。

 

(勧告、命令等)
第39条 市町村長は、特定教育・保育施設の設置者が、次の各号に掲げる場合に該当すると認めるときは、当該特定教育・保育施設の設置者に対し、期限を定めて、当該各号に定める措置をとるべきことを勧告することができる。
一 第三十四条第二項の市町村の条例で定める特定教育・保育施設の運営に関する基準に従って施設型給付費の支給に係る施設として適正な特定教育・保育施設の運営をしていない場合 当該基準を遵守すること。
二 第三十四条第五項に規定する便宜の提供を施設型給付費の支給に係る施設として適正に行っていない場合 当該便宜の提供を適正に行うこと。
2 市町村長(指定都市等所在認定こども園については当該指定都市等の長を除き、指定都市等所在保育所については当該指定都市等又は児童相談所設置市の長を除く。第五項において同じ。)は、特定教育・保育施設(指定都市等所在認定こども園及び指定都市等所在保育所を除く。以下この項及び第五項において同じ。)の設置者が教育・保育施設の認可基準に従って施設型給付費の支給に係る施設として適正な教育・保育施設の運営をしていないと認めるときは、遅滞なく、その旨を、当該特定教育・保育施設に係る教育・保育施設の認可等(教育・保育施設に係る認定こども園法第十七条第一項、学校教育法第四条第一項若しくは児童福祉法第三十五条第四項の認可又は認定こども園法第三条第一項若しくは第三項の認定をいう。第五項及び次条第一項第二号において同じ。)を行った都道府県知事に通知しなければならない。
3 市町村長は、第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた特定教育・保育施設の設置者が、同項の期限内にこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
4 市町村長は、第一項の規定による勧告を受けた特定教育・保育施設の設置者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該特定教育・保育施設の設置者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
5 市町村長は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公示するとともに、遅滞なく、その旨を、当該特定教育・保育施設に係る教育・保育施設の認可等を行った都道府県知事に通知しなければならない。

 

(確認の取消し等)
第40条 市町村長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該特定教育・保育施設に係る第二十七条第一項の確認を取り消し、又は期間を定めてその確認の全部若しくは一部の効力を停止することができる。
一 特定教育・保育施設の設置者が、第三十三条第六項の規定に違反したと認められるとき。
二 特定教育・保育施設の設置者が、教育・保育施設の認可基準に従って施設型給付費の支給に係る施設として適正な教育・保育施設の運営をすることができなくなったと当該特定教育・保育施設に係る教育・保育施設の認可等を行った都道府県知事(指定都市等所在認定こども園については当該指定都市等の長とし、指定都市等所在保育所については当該指定都市等又は児童相談所設置市の長とする。)が認めたとき。
三 特定教育・保育施設の設置者が、第三十四条第二項の市町村の条例で定める特定教育・保育施設の運営に関する基準に従って施設型給付費の支給に係る施設として適正な特定教育・保育施設の運営をすることができなくなったとき。
四 施設型給付費又は特例施設型給付費の請求に関し不正があったとき。
五 特定教育・保育施設の設置者が、第三十八条第一項の規定により報告若しくは帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 特定教育・保育施設の設置者又はその職員が、第三十八条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。ただし、当該特定教育・保育施設の職員がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該特定教育・保育施設の設置者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。
七 特定教育・保育施設の設置者が、不正の手段により第二十七条第一項の確認を受けたとき。
八 前各号に掲げる場合のほか、特定教育・保育施設の設置者が、この法律その他国民の福祉若しくは学校教育に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
九 前各号に掲げる場合のほか、特定教育・保育施設の設置者が、教育・保育に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。
十 特定教育・保育施設の設置者の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下同じ。)又はその長のうちに過去五年以内に教育・保育に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるとき。
2 前項の規定により第二十七条第一項の確認を取り消された教育・保育施設の設置者(政令で定める者を除く。)及びこれに準ずる者として政令で定める者は、その取消しの日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して五年を経過するまでの間は、第三十一条第一項の申請をすることができない。

 

(公示)
第41条 市町村長は、次に掲げる場合には、遅滞なく、当該特定教育・保育施設の設置者の名称、当該特定教育・保育施設の所在地その他の内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出るとともに、これを公示しなければならない。
一 第二十七条第一項の確認をしたとき。
二 第三十六条の規定による第二十七条第一項の確認の辞退があったとき。
三 前条第一項の規定により第二十七条第一項の確認を取り消し、又は同項の確認の全部若しくは一部の効力を停止したとき。

・参照元:「子ども・子育て支援法」の条文はこちら

 

4−2.社会的責任・損失

バスへの置き去り事故は非常にセンセーショナルであり、これが他の保護者に知れ渡り、場合によってはマスコミ等が報道すれば、法的な責任の他、園に対する社会的評価に大きく関わります。

 

(1)保護者らからのクレーム

園に子どもを通わせている保護者からは、事故の発生が認知されると同時に、「園の安全性は大丈夫か」「うちの子は大丈夫か」と不安の声が出始め、直接園に電話をしたり、送り迎えの際に職員に説明を求めるなどの事態が発生します。中には、保育事故以前から抱いていた園への不満なども含めてクレームが発生することもあります。

 

(2)報道、SNS等での誹謗中傷

バスへの置き去り事故はインパクトが強く、死亡事故も発生している事故類型であることから、マスコミの報道は非常にショッキングなものとならざるを得ません。さらに、報道される内容は必ずしも真実とは限らず、取材源が不明である不正確な話を真実かのように報道され、その中で誹謗中傷されることも多々あります。

加えて、近年はSNSで誰しもが情報発信ができるため、報道機関のみならず、保護者や近隣住民なども自ら情報を流すことが可能です。そのため、不正確な情報がインターネット上に蔓延したり、職員らの容姿や名前などを殊更に特定した投稿がされるなど、謂れのない、いき過ぎた誹謗中傷を受けることもあります。

 

(3)園児の退園

事故の対応がうまくいかなかった場合、当該事故にあった園児の保護者のみならず、他の保護者との間での信頼関係を失い「こんな事故を起こす園に子どもを預けられない」と考え、子どもを退園させる保護者もいるかもしれません。保護者らは、園の把握していないところで、例えばLINEグループなどを利用してつながっている事が多く、このような場合、1人の園児が辞めるとなれば、他の園児にも波及することは十分にあり得ます。

 

(4)求職者の減少

バスへの置き去り事故が報道され、インターネット上で拡散されることになれば、これを見た求職者が、「そんな事故が起こる園なら応募はやめよう」と考える場合もあります。

近年は、求人情報もインターネット上で見ることがほとんどですし、さらにこれから応募をする職場について、インターネットで検索する事も当然のように行われています。そのため、求職者は必ずと言っていいほど保育事故の記事を目の当たりにするので、事故の記事や、さらに謂れのない誹謗中傷をされた記事などを見ることにより、さらに求職者が減少する可能性があるのです。

 

(5)職員の離職

バスへの置き去り事故が発生した園では、職員は皆対応に追われ、疲弊しています。何より、実際に保育事故に直面した職員の精神的な疲弊は大きく、これによる精神疾患の発症の他、最悪の場合には離職してしまう場合も珍しくありません。

さらには、仮に園が、職員らに適切な情報提供をしなかったり、対応を職員に丸投げにしてしまったような場合には、直接保育事故に関わった職員のみならず、他の職員の間でも不信感が広がり、大量離職にも繋がりかねません。

 

5.バスの置き去り時が発生した際の園の対応

それでは、具体的に、バスの置き去り事故発生時の対応とそのポイントを見ていきましょう。

 

5−1.まずは園児の救護措置が第一!

まず、事故が発生してすぐの状況で、何より行うべきなのは事故に遭った園児の救護措置です。

バスへの置き去り事故の場合、園児の状態として考えられるのは、

 

  • 脱水症状
  • 熱中症
  • 低体温症
  • 転倒等による負傷

 

などであり、季節、置き去りにされた時間、発見時の園児の状態を見て、水分を摂取させる、体を冷やす、または温めるなどの措置をとる他、仮に心肺停止になっていた場合には心臓マッサージ、AEDの利用、緊急通報など、可能な救護措置を全力で行います。

事故発生時に、迅速かつ適切な救護措置をとるためには、常日頃から、園の中で、緊急時にどのような対応をするかについて、マニュアルを策定し、当該マニュアルに基づいて職員の研修を行っておくことです。緊急時は、誰しもパニックになりますし、冷静な判断が難しい状況です。そのような時ほど、全員がよって立つことができるマニュアルを周知し、これに基づいて対応するという体制を整えておくことが最も重要となるのです。

事故発生直後は、まずは園児の救護措置に集中しましょう。

 

5−2.保護者への報告・謝罪

園児への救護措置、緊急搬送と並行して実施する必要があるのが、保護者への対応です。

保育事故の発生時には、報告のタイミングや、報告内容などに気を配る必要があります。保護者への初期対応を誤れば、園への不信感により、事故の説明や損害賠償に関する交渉が難航し、最終的には法廷でなければ解決できないような事態にもなりかねません。

保護者には、救護措置と並行してすぐに報告をし、その時に判明している状況や事情を正確に伝え、謝罪をしましょう。この際、園側で十分に状況が分かっていない場合には、調査の上、改めてご連絡、ご報告しますと伝えて問題はありません。まずは、第一報を入れることが重要です。

バスへの置き去り事故の場合は、園児側に何らかの要因があることはあっても、園に責任があることは明らかであるため、この点の謝罪は現場の職員からも速やかに行われる必要があります。

もっとも、具体的にどのような責任を負い、これに対してどのような賠償を行うかは、現場の職員がその場で判断できるものでもありませんし、答えるべきものでもありません。

そのため、まずは「人として」「大事なお子さんをお預かりしている園として」、真摯に謝罪を行うことが必要です。

 

▶参考動画:謝罪については、以下の動画でも詳しく説明していますので、併せてご覧下さい。

 

 

5−3.死亡事故に発展した場合

園児の救護措置や保護者への報告、謝罪後には、以下のような対応が発生します。

 

保育園・幼稚園のバス置き去り死亡事故に発展した場合の対応の流れ

 

「行政への事故報告書」「警察の操作対応」「職員への対応」「マスコミへの対応」「5.賠償対応」「保険会社対応」「保護者らへの説明」、これらの対応は、必ずしもこの順番に行われるわけではなく、時には同時多発的に発生したり、前後したりします。

死亡事故時の具体的な対応のポイントについては、以下の記事で詳しく説明をしていますので、併せてご覧ください。

 

▶️参考:保育園・幼稚園の死亡事故!発生原因や対応方法を事例をもとに解説

 

 

5−4.死亡事故以外の場合

死亡事故に至らなかった場合であっても、必要な対応は死亡事故の場合と大きくは変わりません。異なる点としては、事故に遭った園児について、必ずしも園との関係が途絶するわけではない点です。

すなわち、当該園児へのお見舞いや、その後、当該園児の保護者が、事故を受けてなお、当該園児をこのまま園に通い続けるのかという点が問題となってきます。当該園児へのお見舞いについては、状況に応じて検討する、という説明をする他なく、一般的にどのような対応をすべきか、という答えがありません。

例えば、事故の発生に対して、保護者が園に対して強い不信感を持っている場合や、マスコミ等の取材が予想されるような場合には、園の職員らがお見舞いに来ることに強い抵抗感を示す場合があります。

このような場合に、無理に病院やご自宅に押しかければ、その場で保護者や関係者の感情を逆撫ですることは避けられませんし、混乱を生むことは必至です。他方、お見舞いに行かないことに、不快感を示される場合もあり、その判断は非常に難しいと言わざるを得ません。

園児の状態について確認をしつつ、お見舞いに行くことができるがどうかを打診していく他ないのですが、答えがない問題であるため、弁護士などの専門家と並走し、逐一相談しながら、判断をしていく必要があります。

また、当該園児が、事故後も園に通い続けるかどうかについては、保護者としっかりと話し合う必要があります。この場合、園としては、保護者に退園するか否かの判断をしてもらうため、再発防止策の策定や事故防止に向けた説明が急務となります。

 

5−5.記者会見、保護者説明会は行うべき?

バスの置き去り事故が発生した際、記者会見や保護者説明会を行うかは、慎重に検討する必要があります。

結論として、弁護士法人かなめとしては、園からの情報発信は必要であるものの、少なくとも事故発生直後の記者会見や保護者説明会は実施すべきでないと考えています。

センセーショナルな保育事故が発生した際、他の保護者からは、「事故原因は何か」「うちの子は大丈夫か」「今後の再発防止策について説明して欲しい」などといった声が上がり、そのような声に押し切られて、混乱の中で、記者会見や保護者説明会を開くケースをよく目にします。中には、行政からの指導を受けて、記者会見や保護者説明会の開催を行うケースもあります。

しかしながら、保育事故発生直後は、誰もが状況を把握できておらず、記者会見や保護者説明会を開いたとしても、説明できることはほとんどありません。何より、そもそも1対多による説明会では、怒号や感情的な質問が飛び交い、本来説明すべきことの説明すらもうまくいかないケースがほとんどです。また、記者会見では、その全てを報道されるということはほとんどなく、園にとって都合の悪い部分についてのみ切り取られ、説明の趣旨と異なる内容が報道されてしまうこともあり得ます。

そのため、記者会見や保護者説明会そのものが、説明の方法として相応しいかは状況によって検討をすべきですし、少なくとも事故直後の段階で、記者会見、保護者説明会を開催することは避けなければなりません。

とはいうものの、情報を秘した状態では、不満や不信感が噴出し、報道される内容などから不正確な情報がSNS等で拡散されるなどし、逆に収拾がつかなくなる場合もあります。

そこで、例えば、事故直後の段階では、園から保護者への一斉のお知らせや、ホームページなどで、確実な事実や状況と併せて、現在調査中であることや、お預けいただいている園児の皆様の安全が確保されていることなどを適時に公表するようにして、園側から積極的な情報公開を行うことで、保護者らとの信頼関係を維持するよう心がけましょう。

その上で、記者会見、保護者説明会を実施するのであれば、その時期や内容は、並走する弁護士とよく相談の上決めるようにしましょう。

 

6.バスの置き去り事故を防止するには?

ここまで、バスの置き去り事故に関して、事故が発生してしまった際の対応について解説しましたが、最も重要なことは、このような事故を起こさないことです。

以下では、バスの置き去り事故の防止について、解説します。

 

6−1.送迎バスの安全措置の義務化

静岡県牧之原市において発生した、認定こども園の送迎バスに子どもが置き去りにされ、亡くなった事故を受け、令和4年12月、こども家庭庁が、バス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策「こどものバス送迎・安全徹底プラン」を取りまとめました。

具体的な内容としては、

 

  • ① 降車時等に点呼等により幼児等の所在を確認
  • ② 送迎用バスへの安全装置の装備

 

を義務付け、以下のような整理がされています。

 

▶参照:「安全装置の義務付け」整理表

「安全装置の義務付け」整理表

・参照元:「こどものバス送迎・安全徹底プラン 〜バス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策〜」(pdf)7ページ引用

 

6−2.具体的な安全措置

以下では、具体的な安全措置の方法について解説します。

 

(1)安全マニュアルの策定

こども家庭庁は、緊急対策「こどものバス送迎・安全徹底プラン」を基本として、「こどものバス送迎・安全徹底マニュアル」を公開しています。

 

▶️参照:「こどものバス送迎・安全徹底マニュアル 」(pdf)

 

 

このマニュアルは、園として、バス送迎におけるこどもの安全の確保のためには、

 

  • 全職員・関係者が共通認識をもって取り組むこと
  • 園長の責任の下で、こどもの安全・確実な登園・降園のための安全管理を徹底する体制を作ること

 

が重要であることを確認の上、以下などのチェック項目を設け、これを園長自ら、定期的に確認する仕組みを作ることを推奨しています。

 

  • 送迎時の具体的な手順と役割分担を定めたマニュアル等を作成している。
  • 出欠確認を行う時間、記録や共有方法等のルールを定めている。
  • 運転手の他に職員が同乗する体制を作っている。
  • 定期的に研修等を実施している。
  • マニュアル等について全職員に周知・徹底している。
  • マニュアル等を送迎用バス内、又は全職員が分かる場所に設置している。
  • ヒヤリ・ハットを共有する体制を作っている。
  • 送迎用バスの運行を外部業者に委託している場合は、園で運行する場合と同様の安全管理体制を敷いているか確認している。

 

園としては、このこどものバス送迎・安全徹底マニュアルを参考にしつつ、実際の園の人員配置に沿ったマニュアルを策定しておく必要があります。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

マニュアル策定にあたって、インターネット上に掲載されている雛形や、他の園のマニュアルなどを参考にすることは全く問題ありません。

 

しかしながら、園によって人員配置や園の立地、送迎人数や送迎場所なども全く異なるため、これらの雛形等をそのまま利用することはできません。

 

報道等に接して、「とにかく形だけでも作らないと」と焦る方々もいるかもしれませんが、マニュアルは策定の上、運用できなければ全く意味がありません。むしろ、何か問題が発生した際、マニュアルがあったとしても、その通りの運用がそもそも不可能で、運用できていないという状況であれば、園としての責任を免れることはできません。

 

このようなマニュアル策定は、非常に骨の折れる作業ですが、今後の園運営を考えれば、取り組んでいかなければならない課題です。

 

 

(2)安全機器の導入

安全機器に関しては、以下の2点を軸に、国土交通省において技術要件等をまとめたガイドラインが策定されています。

 

  • ① ヒューマンエラーを補完する安全装置であること
  • ② 事業者(幼稚園等)への過度な負担とならないようにするため、既販車にも後付け可能な安全装置も視野に入れる

 

▶️参照:送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置の仕様に関するガイドラインを検討するワーキンググループ」(pdf)

 

 

ガイドラインへの適合が確認された安全装置のリストは、以下のページで公開されています。

 

▶️参照:こども家庭庁「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリストについて」 

 

 

また、安全装置の概要としては「降車時確認式の装置」と「自動検知式の装置」があり、それぞれ以下のような機能を備えています。

 

1.降車時確認式の装置
  • 乗員の降車の際、運転手等が車内に置き去りにされた乗員がいないか確認した上で入力可能な押しボタン等の構造
  • 車内に向けて警報を発して運転手等に置き去りにされた乗員がいないか車内の確認を促す機能
  • 車内に向けて警報を発してから長時間確認が完了した操作がなされない等、運転手等が車内の確認を忘れて車から離れようとしている場合において、車外に向けて警報を発して乗員の置き去りの可能性があることを知らせる機能

 

2.自動検知式の装置
  •  カメラ等のセンサーにより車内に置き去りにされた乗員を検知する機能
  •  センサーにより、原動機の停止等の後に置き去りにされた乗員を検知した場合において、車外に向けて警報を発して置き去りにされた乗員を検知したことを 知らせる機能
  •  センサーにより置き去りにされた乗員が検知された場合において、運転手等が車内に置き去りにされた乗員がいないか確認した上で入力可能な押しボタン等の構造

 

これらの安全装置の装備後は、定期的に、動作していることを確認することが必要となります。日々の送迎時において動作を確認するほか、園の安全計画等に定期的な点検について記載し、対応しなければなりません。

 

(3)園児への指導

園としては、そもそも園児をバス内に置き去りにしないように対策を講じるべきですが、万が一、園児がバス内に閉じ込められてしまった際には、園児自身にも自らの身を守るための行動をとってもらう必要があります。

そこで、普段から、園児に対して、万が一バス内に閉じ込められてしまった際の行動を指導しておくことも重要です。

具体的には、周囲に誰もいなくなってしまった場合を想定してクラクションを鳴らす訓練を実施しておいたり、乗降口付近に、こどもの力でも簡単に押せ、エンジンを切った状態の時だけクラクションと連動して鳴らすことができるボタンを設置して、これを押す訓練をしておくことで、もしもの時に対応ができる場合があります。

実際に、多くの園で、バスへの置き去り事故の報道を受けて、バスに閉じ込められてしまった場合にクラクションを押すための訓練を実施しています。

例えば、園児が自分の手だけでクラクションを鳴らすことが難しいことから、水筒を活用してクラクションを鳴らす訓練の動画が拡散されたことは、皆様の記憶にも新しいことと思います。実践練習を定期的に行うことは非常に大切です。

 

(4)保護者との連携

園児が欠席なのか、それとも行方不明になっているのかを早期に把握するためには、保護者の方との連携も不可欠です。

例えば、登園予定だった園児の所在がわからない場合に、登園をしたにもかかわらず所在が不明なのか、欠席であるにもかかわらず保護者の方からの連絡がなかったのかがすぐに把握できなければ、園としても初動が遅れる可能性があります。

そのため、保護者の方に対しては、欠席の際には必ず決まった時間までに園に連絡をしてもらうことをお願いした上で、その連絡手段等を工夫しておく必要があります。

例えば、連絡手段を電話連絡のみとしている場合、電話が繋がらない、などの問題が発生する可能性があります。保護者側も、園児の急な病気などが理由で病院へ向かっているような場合であれば、すぐに電話ができない場合もありますし、園側も、登園時間と重なれば、職員が出払っており電話対応ができない場合もありえます。

そのため、例えば出席管理のためのアプリを導入する、ショートメールを利用するなどし、保護者側からは入力を行いやすくし、かつ、園側の誰でも確認ができる状況にしておくなど、工夫が必要です。

何より、保護者の方にも、出欠の確認が、園児の生命身体を守るために非常に有用であることを理解していただくため、説明やお願いを粘り強く行うことが大切です。

 

7.バスの置き去り事故の際には弁護士に相談を!

以上のように、保育園、幼稚園でバスの置き去り事故が発生すれば、多くの対応業務が発生し、これによる混乱や業務の圧迫は避けられません。特に、初動を誤ってしまった場合、職員の離職、様々な風評被害等により、園の運営が成り立たなくなるような取り返しの付かない事態になることも少なくありません。

初動の段階から弁護士に相談することができれば、適時に助言を受けながら不安なく対応や交渉を進めることができますし、必要な書面を代わりに作成してもらうことで、業務への負担を大きく減らすことができます。さらに、初期対応から相談することで、どうしても交渉や対応がうまくいかなくなった時、スムーズに窓口対応を弁護士に変更することができます。

加えて、弁護士への相談にあたっては、幼保事業に精通した弁護士を選ぶことが肝要です。幼保事業における業務フローや法制度を把握できていない弁護士は、保育事故の際に、まずは幼保事業の働き方や制度等の理解から始めなければなりません。保育事故は、迅速な対応を求められるため、即時に対処できない結果、対応が後手に回ってしまう場合があります。

不祥事対応のみならず、幼保事業に精通した弁護士へ相談することで、幼保業界の基礎知識を1から説明することなく、状況を速やかに理解した上、適時に具体的なアドバイスを受けることができます。

 

8.保育事故に関して弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

弁護士法人かなめでは、幼保業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • (1)バスの置き去り事故発生時のトータルサポート
  • (2)顧問弁護士サービス「かなめねっと」

 

8−1.バスの置き去り事故発生時のトータルサポート

バスの置き去り事故は、現在社会的に非常に問題となっており、一度発生してしまえば、対応すべき事柄が同時に多数発生します。そのため、優先順位をつけながら適時に対応をする必要があります。

しかしながら、園だけで全ての対応を滞りなく実施することが難しいこともあり、これにより、職員にかかる負担が大きくなれば、職員の心身の不調や離職なども懸念されます。

弁護士法人かなめでは、バスの置き去り事故の発生時から、先回りした対応の提案や見通しを伝えた上、発生した事態をその都度ご相談いただくことで、適時に何をどのように対応すべきかを助言したり、必要な文書の作成等を行い、場合によっては対応窓口となって、保護者、マスコミ、警察などに代理人として対応し、案件の収束までトータルにサポートします。

 

(1)ご相談プラン

まずは、一度、弁護士法人かなめにご相談ください。

 

  • 1回目:1万円(消費税別)/1時間
  • 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間

 

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。

※スポットでの法律相談は、原則として3回までとさせて頂いております。

※法律相談は、「1.弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2.ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

法律相談の申込みは、以下のお問い合わせフォームから受け付けしております。

 

弁護士法人かなめの「お問い合わせフォーム」はこちら

 

 

※幼保事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方からのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

(2)緊急トラブル対応サポートプラン

  • 50万円~/サポート1項目(消費税別)

 

弁護士法人かなめでは、幼保業界に特化した弁護士が、各種緊急トラブル対応に関する対応サポートをさせていただきます。具体的には、チャットワークで法人主要メンバーとグループチャットを策定し、24時間相談可能な体制を構築し、具体的な局面ごとの相談対応サポ-トを実施させて頂きます。また、現地調査、行政対応等が発生した場合においても、弁護士法人かなめの所属弁護士が現地に赴き、現地対応させて頂きます。

緊急時だからこそ、全体像を速やかに把握し、トラブル解決に向けたプロセスを迅速かつ丁寧に検討すること、適時適切なタイミングで関係各所へ対応することが必要不可欠です。園運営を継続していくことが、園を利用する全ての人にとって重要課題となりますので、弁護士法人かなめが全力で緊急トラブル対応のサポートを致します。

 

▶️弁護士法人かなめの「緊急トラブル対応サポート」の詳細はこちら

 

 

まずは、お問い合わせフォームより、ご相談ください。

 

弁護士法人かなめの「お問い合わせフォーム」はこちら

 

 

8−2.顧問弁護士サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、「(1)バスの置き去り事故発生時のトータルサポート」を含んだ総合的な法的サービスを提供する、顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

弁護士法人かなめでは、トラブルに迅速に対応するためチャットワークを導入し、事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

具体的には、弁護士と園の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。

法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。直接弁護士に相談できることで、園内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページをご覧ください。

 

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

 

また以下の動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎参考動画:【介護・保育事業の方、必見】チャットで弁護士と繋がろう!!介護保育事業の現場責任者がすぐに弁護士に相談できる「かなめねっと」の紹介動画

 

 

 

(1)顧問料

  • 顧問料:月額6万5000円(消費税別)から

 

※職員従業員の方の人数、園の数、業務量により顧問料の金額は要相談とさせて頂いております。詳しくは、お問合せフォームまたはお電話からお問い合わせください。

 

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

 

9.まとめ

この記事では、保育園、幼稚園でのバスへの置き去り事故の具体例やその原因の他、実際に置き去り事故が発生した際に、どのような事態が発生し、これに対して、具体的にどのように対応すればいいのか、また、園にどのような責任が発生するのか、事前の防止策などについて解説しました。

保育園、幼稚園でのバスへの置き去り事故は非常にセンセーショナルであり、一度発生すれば、様々な対応に追われることとなりますが、最も重要なことは、園の中での意識の統一です。

保育事故が発生した際に何が起きるのかを、事前に職員の間で共有できれば、例えば警察やマスコミがやってきても、慌てず対応することが可能となります。

加えて、事前の防止策をしっかりとり、仮に置き去り事故が発生しても、すぐに園児を救護できる状況を整えることも重要となります。

もっとも、適正な園運営のためには、目の前で発生する懸念事項をすぐに相談できる専門家が必要です。バスへの置き去り事故が発生した場合には、まずは保育、幼稚園の分野に詳しい弁護士に相談しましょう。

 

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畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
企業側の立場で幼保事業所の労務事件や保護者対応事件を担当した経験から、幼保事業所での現場の悩みにすぐに対応できる幼保事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、幼保業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「幼保事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。
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中野 知美なかの ともみ

弁護士

出身大学:香川大学法学部法律学科卒業/大阪大学法科大学院修了(法務博士)。
幼保事業所からの相談を数多く受けてきた経験を活かし、一般的な法的知識を幼保現場に即した「使える」法的知識に落とし込み、わかりやすく説明することをモットーとしている。保育事故、カスタマーハラスメント、労働問題、行政対応など、幼保現場で発生する多様な問題に精通している。

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