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カスハラ対策が義務化!事業者に必要な取組み内容や防止対策を事例付きで解説

カスハラ対策が義務化!事業者に必要な取組み内容や防止対策を事例付きで解説
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2026年10月1日、全国の事業主に「カスハラ対策」がいよいよ義務化されます。

労働者の就業環境を守るため、国は被害が深刻なカスハラ(カスタマーハラスメント)への対策の強化にいよいよ本腰を入れました。2025年6月に成立した改正労働施策総合推進法により、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主に義務付けられたのです。国内すべての企業を対象に、カスハラ対応方針の明確化・周知、相談体制の整備、犯罪に該当しうる言動の警察への通報等のカスハラ対策が「雇用管理上の措置義務」となり、2026年10月1日から施行されます。

この「カスハラ対策の義務化」は、一般企業だけの話ではありません。当然ながら、幼保業界でも事業主に具体的なカスハラ対策を講じることが求められます。しかし、幼保の現場では、コールセンターやスーパーマーケットといった接客業とは異なり、一般的な消費者ではない保護者等からカスハラ被害を受けることが多く、特殊な現場の事情を考慮した対策が必要です。

「義務化と言われても、園でのカスハラ対策って一体何から始めたらいいのだろう」
「ネットに掲載されているカスハラ対策マニュアルは幼保の現場では参考にならない」
「自園で対策を考えてみたものの法律的に問題ないのだろうか」

義務化に向けた具体的な取り組みの手掛かりを見つけられずに不安を感じられている幼保事業者も多いのではないでしょうか。

カスハラ対策を形式的に行っているだけでは、いざという時に個々の職員任せの対応になってしまい園として正しい対応ができません。その結果、スムーズな解決どころか泥沼化してしまうリスクがあります。またそれだけでなく、現場の職員が疲弊してメンタルヘルス不調に陥ったり、最悪の場合、離職につながったりしてしまいます。そのため、カスハラ対策は専門家などのサポートも受けながら、園全体で組織として実効性のある取り組みを実施していくことが非常に重要です。

そこで、この記事では、幼保業界のカスハラ対策に焦点をあて、法律的な側面も含め園が取り組むべき対策の内容を具体的に解説します。さらには、特に現場では難しいと考えられている利用契約の解除についても触れ、カスハラ問題を未然に防ぐための取り組みを弁護士ならではの視点から掘り下げていきます。この記事を最後まで読んでいただければ、カスハラ対策の義務化に向けて自園で取り掛かるべきことが明確に見えてくるはずです。

また、幼保業界に精通している弁護士法人かなめによる幼保の現場でのカスハラ対策・防止サポートについても併せて紹介しています。弁護士の強力なサポートを受けて対策にあたりたいと考えている園の皆さんは、ぜひ参考にしてください。

義務化まで時間はありませんので、改正労働施策総合推進法の内容を把握されていない方は急いで確認してください。

それでは、見ていきましょう。

 

▶参考:弁護士法人かなめの弁護士による幼保事業所のカスハラ対策の具体的なサポート内容については、以下を参考にしてください。

・カスタマーハラスメント対策に関して弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

 

また、保育園・幼稚園・こども園など幼保事業所で発生したカスハラトラブルにおいて、実際に弁護士法人かなめの弁護士が解決までサポートした事例もご紹介していますので参考にしてください。

・実際に弁護士法人かなめの弁護士が幼保の現場で発生したカスハラ対応をサポートした事例はこちら

 

 

1.カスタマーハラスメントの対策とは?

社会的な問題となっている、いわゆる「カスハラ(カスタマーハラスメント)」は、労働環境に深刻な被害をもたらしています。現代社会では、顧客から過度な要求や理不尽で悪質なクレームを受けることが増え、ニュースなどでは様々な業種のカスハラ事案が取り上げられていることは周知のとおりです。

もし、カスハラに対策を講じなければどうなるでしょうか。顧客の対応に恐怖を感じたり、出勤そのものに心理的負担が生じたりして、従業員が休職や離職を考えるようになれば、事業者は貴重な人材を失うことになりかねません。また、事業者は、職員に対して安全配慮義務を負っていますから、このような状況を認識しながら放置すれば、メンタルヘルス不調を訴えた従業員から損害賠償請求を受けることも起こり得ます。こういった法的リスクの観点から見ても、カスハラ対策は急務です。

まず、カスハラの定義について確認しておきましょう。カスハラとは、「カスタマーハラスメント」の略称で、改正労働施策総合推進法(▶参照:厚生労働省「令和6年労働施策総合推進法等一部改正法のポイント」 )では、以下の3つの要素をすべて満たすものとして定義されています。

 

  • ① 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
  • ② 社会通念上許容される範囲を超えた言動により
  • ③ 労働者の就業環境を害すること。

 

また、厚生労働省が令和3年に策定したカスハラ対策のマニュアルでは、具体的なカスハラの判断基準を示し、顧客等からのクレーム・言動のうち、「要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの」として、暴行や脅迫、威圧的な態度、土下座の強要などの行為、「要求内容の妥当性に応じて不相当とされる可能性があるもの」として、金銭の要求や商品の交換、土下座を除く謝罪の要求などをカスタマーハラスメントとして列挙していますので、参考にしてください。

 

▶参照:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」

 

 

1−1.カスハラ対策は何をするの?

では、幼保業界におけるカスハラ対策は何をしなければいけないのかについても見ておきましょう。

幼保業界におけるカスハラ対策とは、主に園児の保護者等から職員に向けられる、社会通念上許容される範囲を超えた要求・暴言・威圧・執拗な言動等について、園として職員を守りながら組織的に対応する仕組みを整えることです。

「5.幼保事業者として取り組むべきカスハラ対策の具体的な内容」で具体的な対策の取り組み内容について解説していますが、以下のような対策を組織として取り組んでいくことが必要です。

 

  • カスタマーハラスメントの基本指針の策定、周知
  • 職員の相談窓口の設置
  • マニュアル、対応方法、手順の策定」
  • 職員研修
  • 事実関係の正確な把握と事案への対応
  • 職員への配慮
  • 再発防止のための取組み
    等

 

各自治体でも、職員の労働環境や行政サービスの維持を守るための組織的な対応が急務となり、カスハラ防止指針(ガイドライン)の策定やマニュアルの整備が進められてきました。さらに、後ほど詳しく解説しますが、東京都をはじめとするいくつかの自治体では、自治体独自に条例化を推し進め、カスハラ防止条例を制定しています。

 

▶参照:東京都

・東京都カスタマー・ハラスメント防止条例

・カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)

 

▶参照:愛知県

・愛知県カスタマーハラスメント防止条例

・カスタマーハラスメント防止に 関する指針(ガイドライン)

 

 

2.幼保現場におけるカスハラ対策の必要性

幼保業界でも、カスハラ被害は増加しており、現実的に、モンスターペアレントと呼ばれる保護者への対応に苦慮する園が増えています。近年では、消費者意識の高まりから保護者が利用料をサービス料と捉え、支払の対価として過剰な教育・保育サービスの提供を求めたり、SNS等の普及によって保護者が園への不満や間違った情報を投稿したりするケースが目立っています。

こうした保護者対応の難しさは、決して近年に始まったことではありません。厚生労働省職業安定局が実施した「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」(平成25年)では、有資格者で保育士としての就業を希望しない求職者に対する意識調査を実施したところ、保育士としての就業を希望しない理由として「保護者との関係がむずかしい」という項目を選択した回答者は全体の19.6%(複数回答可)にのぼり、年齢別に見ても大差はありませんでした。現場の職員がいかに長年、保護者との関係性に悩んできたかが伺えます。

 

▶参照:厚生労働省職業安定局が実施した「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」(平成25年)は、以下をご参照ください。

・厚生労働省「保育を支える 保育士の確保に向けた総合的取組」(P.14-18)

 

 

人材不足が叫ばれる幼保業界では、園がカスハラ被害への対応を放置しておくと、職員の疲弊やメンタル不調につながるおそれが高まるばかりか、最悪の場合、職員の離職を招き、貴重な人材を失いかねません。また、職員がカスハラによって精神疾患を発症すれば、園としては、労働契約上の安全配慮義務に違反したものとして、損害賠償責任を問われる可能性があります。

しかし、幼保業界では、充分なカスハラ対策を講じている園はまだまだ少ないのが現状です。日常的に保護者からクレームを受けることが多い幼保の現場だからこそ、こうしたリスクから職員と組織を守るため、今まさにカスハラ対策に本腰を入れて取り組む必要に迫られています。

 

3.法律で義務化されたカスハラ対策とは?

法律で義務化されたカスハラ対策

法律で義務化されたカスハラ対策とは、労働施策総合推進法の改正によって、2026年10月1日からすべての事業主に課される「雇用管理上の措置義務」を指します。これまで努力義務や事業主の自主的な取り組みに委ねられていたカスハラ対策が、明確な法定義務へと格上げされました。

厚生労働省の指針(ガイドライン)に基づく対策の柱は、主に以下の5つです。

 

  • 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  • 相談体制の整備
  • 事後の迅速かつ適切な対応
  • 対応の実効性を確保するために必要なカスハラの抑止のための措置
  • そのほか併せて講ずべき措置

 

措置義務に違反し、これらの対策を怠った場合は、行政による是正勧告や企業名の公表といった厳しいペナルティを受ける法的リスクがあります。ここでは、今回の労働施策総合推進法の改正の全容をはじめ、事業主が具体的に取り組むべき義務化された具体的なカスハラ対策、そして義務に違反した場合のリスクについて、わかりやすく解説します。

 

3−1.労働施策総合推進法の改正

これまで、職場におけるハラスメント対策のうち、セクハラ、パワハラ、マタハラについては、それぞれ男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法、育児・介護休業法において、事業主の雇用管理上の措置義務として、法律で義務化されていました。一方で、カスハラについては、国のマニュアルや企業の自主的な取り組みに委ねられており、法制化が進んでいませんでした。

しかし、深刻化する人手不足や現場職員のメンタルヘルス不調、離職の増加といった社会的問題と地方自治体の条例化などカスハラ対策に向けた積極的な動きを受け、国は法的措置の強化へと舵を切りました。

これにより、2025年6月には労働施策総合推進法が一部改正され、2026年10月1日から、これまで努力義務にとどまっていたカスハラ対策がすべての事業主に対する法定義務となりました。事業主は国が示した指針を踏まえ、具体的な対策を進めていくこととされています。これは、幼保現場も例外ではなく、園においてカスハラ対策が法律で義務付けられることになったのです。

 

▶参照:法改正により事業主に義務付けられたカスハラ対策の内容については、以下の「政府広報オンライン」のホームページもあわせてご参照ください。

・政府広報オンライン

 

 

3−2.義務化された対策の内容

今回の法改正にともない、園がカスハラ防止のために講じるべき雇用管理上の措置は、厚生労働省の指針(ガイドライン)に基づき、主に以下の5つの柱で構成されています。

 

(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

  • ① カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する。
  • ② カスハラの内容及びあらかじめ定めた対処の内容(※)を、労働者に周知する。

(※)管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐ、可能な限り労働者を一人で対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する、本社・本部等へ情報共有を行い指示を仰ぐ等

 

(2)相談体制の整備

  • ③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する。
  • ④相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする。

 

(3)事後の迅速かつ適切な対応

  • ⑤事実関係を迅速かつ正確に確認する。
  • ⑥被害者に対する配慮のための措置を行う。
  • ⑦再発防止に向けた措置を講ずる。

 

(4)対応の実効性を確保するために必要なカスハラの抑止のための措置

  • ⑧特に悪質と考えられるカスハラへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備する。

 

(5)そのほか併せて講ずべき措置

  • ⑨相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する。
  • ⑩相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する。

 

まず、事業主が労働者を守るため、職場におけるカスハラ行為には毅然と対応するという基本姿勢を明確に打ち出し、周知します。その上で、何がカスハラに該当するのかを労働者に周知・研修することが求められます。

次に、カスハラを受けた労働者が、一人で抱え込まずに即座に繋がることができる相談窓口を設置し、窓口の担当者は、マニュアルに基づき組織として迅速に対応できるよう必要な体制をあらかじめ構築しておく必要があります。

そして、実際にカスハラが発生した場合には、事実関係を迅速に確認し、必要によって録音・録画等の客観的証拠を確認する、関係者から聴取する等の措置を講じます。あわせて、被害を受けた労働者のメンタルヘルス不調を防ぐための事後ケア(産業医への相談、面談、休暇の配慮など)を行います。また、二度と同じ被害を出さないための再発防止策(電話録音の導入や、当該保護者への対応ルールの見直しなど)を講じることも義務に含まれます。

さらに、職員に対し過度な要求を繰り返す等特に悪質と考えられるものへの対処として、警察への通報や警告文の発出、販売・サービス提供等といった状況に応じた方針を定め、労働者に周知し、カスハラへの対応の実効性を確保しておく必要があります。

ただし、以上の措置とあわせて、デリケートな問題を取り扱うことから相談者や関係者のプライバシー保護に万全の措置を講じ、それを労働者に周知しておくことが不可欠です。また、相談者が相談したことや事実確認に協力したことを理由として、解雇や降格などの不利益な取扱いをされない旨を就業規則等に明記し、従業員へ周知・啓発することも義務付けられています。従業員が、いかなる場面でも二次被害の心配をせず、安心して相談・協力できる環境をハードとソフトの両面から担保することが、義務化されたカスハラ対策の実効性を高める鍵となります。

 

▶参照:厚生労働省の指針(ガイドライン)については、以下をご参照ください。

・事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号)

 

 

3−3.義務に反した場合の罰則

では、もし事業主がこれらの義務を果たさず、カスハラに悩む従業員を放置してしまった場合、どのような罰則やリスクがあるのでしょうか。

結論から言うと、労働施策総合推進法には、事業主がカスハラ対策を怠ったことに対する直接的な罰則規定(刑事罰等)は以前からありませんし、今回の改正でも新設されてはいません。

しかし、労働施策総合推進法には、2020年6月にパワハラ防止対策が義務化されたタイミング(令和元年法改正)で、ハラスメント対策を怠った事業主に対して、以下の行政措置を講じることができる規定がすでに設けられています。

 

  • ①厚生労働大臣による、事業主への助言、指導または勧告
  • ②是正勧告に従わなかった場合における、厚生労働大臣による事業主名(園名)の公表

 

今回の改正によって、カスハラ対策が雇用管理上の措置として義務付けられることになったため、今後は、カスハラ対策を怠った事業主も同様に、このペナルティの対象となります。

義務違反の事業者として世間に園名が公表されるようなことになれば、社会的信用が失墜するだけでなく、園児の募集や人材の獲得にも致命的なダメージを受けることになるでしょう。園の経営基盤そのものを揺るがすリスクになりますから、まずは法改正の趣旨を十分に理解し、一刻も早く園の体制整備に取り掛かりましょう。

 

4.カスハラ防止条例とは?

カスハラ防止条例

カスハラ防止条例とは、カスハラを防止し、働く人の就業環境を社会全体で守ることを目的として、地方自治体が独自に制定する条例です。2025年に東京都が全国に先駆けて制定したことを皮切りに、現在では多くの自治体で導入が進んでいます。

カスハラ条例が制定された背景には、カスハラ被害の増加による労働環境の悪化やサービス業における深刻な働き手不足がありつつも、国の法整備が進んでいないこと等がありました。自治体は、国に先行する形で、条例にカスハラの定義や禁止規定、各主体の責務、事業者の措置等を盛り込み、国の法改正(労働施策総合推進法)を後押ししました。

なぜ国に先駆けて各自治体で条例が制定されるに至ったのか、その背景と条例の具体的な内容を理解すれば、カスハラの義務化に向けた対応を検討するにあたり、非常に参考となるはずです。それでは詳しく見ていきましょう。

 

4−1.カスハラ防止条例が制定された背景

これまで、労働施策総合推進法の改正に先立ち、地方自治体によってカスハラ防止を目的とする条例が制定、施行されています。

 

  • 2025年4月施行:東京都、北海道、三重県桑名市、群馬県嬬恋、群馬県
  • 2025年10月施行:愛知県
  • 2026年4月施行:静岡県、静岡県長泉町

 

▶参照:カスタマーハラスメントに関する条例については、以下もあわせてご参照ください。

・一般財団法人地方自治研究機構「カスタマーハラスメントに関する条例」

 

 

(1)【参考】東京都のカスタマーハラスメントに関する条例化について

その中でも全国で初めて条例化がなされたのは東京都です。働き手が集中する東京都では、就業構造を産業別有業者数構成比で見ると、第3次産業の従業者が全体の85.46%(第1次産業0.26%、第2次産業14.28%)を占めており、全国で最も高い数値となっています。いわゆるサービス業である第3次産業は、サービスの提供に顧客(利用者)と従業員との直接的な接触が不可欠であるため、カスハラが発生しやすい環境といえ、その被害は増大しています。

東京都は、カスハラによって就業者のメンタル不調や職場環境の悪化、人手不足を招き、事態が深刻化していることから、2023年10月に開催した「公労使による『新しい東京』実現会議」においてカスハラへの対応のあり方をテーマに議論したことを発端として、専門家を交えた「カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会」を設置、半年にわたり事業主側、労働者側、専門家など検討部会において議論を重ねました。

 

検討部会の議論の中では、

  • 既に2022年に厚労省が策定した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では効力が低く、条例など法的な枠組みで防止することが重要である。
  • 中小零細企業においては組織的にカスハラに対応できる体制をとることが難しい。
  • 法整備のハードルが非常に高い事案であるから都が取組を先行して始めてもらうのはありがたい。
  • 人事管理部門では働き方改革からコロナ対応まで様々な対応や対策に追われておりカスハラ対策にまで力を割くことが難しい。
  • まずはカスハラを定義づけして定期的な研修を実施してほしい、周知・啓発では限界があるから条例化も検討すべき。

等、それぞれの立場から切実な意見が出されました。

 

 

2024年5月、検討部会の報告を受けた「公労使による『新しい東京』実現会議」において、小池都知事はあらためてカスハラ対策を「待ったなし」の課題として掲げ、スピード感をもってカスハラに対応するため、「カスハラはあってはならない」という理念を啓発・浸透させるための罰則のない条例化と、カスハラにあたる内容などを示す方針(ガイドライン)策定による実効性の確保に取り組む方針を固めました。そして、同年7月には産業労働局が「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方」をまとめ、パブリックコメントを募集したうえで、同年10月に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が議会にて可決、全国初のカスハラ条例が成立しました。

同年12月には条例を基づいた「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」も策定され、カスハラの内容に関する事項、顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項、都の施策に関する事項、事業者の取組に関する事項その他カスハラを防止するために必要な事項について定められています。

 

▶参照:カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)については、以下をご参照ください。

・東京都「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」

 

 

このように、働く現場においては、既存のカスハラの周知・啓発活動やカスハラ対策企業マニュアルでは企業規模によって対策に限界があり、より踏み込んだ国レベルでの対策が急務でした。

しかし、国の法整備に遅れが生じていたこともあり、東京都は首都としての機敏性を活かし条例化を実現させました。東京都の取り組みは国の法改正より一歩先に進んでいたわけですが、都のスピード感を持った動きがカスハラ対策に向けた社会的な動きを活発化させる機運となり、全国的な法整備を促した功績は大きいでしょう。東京都以外の自治体でも、東京都を参考にしつつ、各自治体独自の背景やカスハラ防止条例制定の議論や動きが活発化しています。

もちろん、国でもカスハラ対策を盛り込んだ法整備の議論は進行していました。都の条例化に向けた動きと並行し、厚労省では2024年2月に設置された「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」において、11回にわたり雇用の分野における女性活躍推進やハラスメントについて、現状の分析や論点整理を行い、今後の在り方が検討されてきました。

同年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2024 」において、「カスタマーハラスメントを含む職場におけるハラスメントについて、法的措置も視野に入れ、対策を強化する。」と明記し、同省の労働政策審議会は同年9月から同審議会の雇用環境・均等分科会において7回にわたり議論を重ねてきた結果、同年12月、厚生労働大臣に対し「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について建議 」を行い、中でもカスハラについては「顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと」、「社会通念上相当な範囲を超えた言動であること」、「労働者の就業環境が害されること」の3つの要素を満たすものと定義し、対策を「事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当である」と明記しました。

そして、翌年3月「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、先に述べたように労働施策総合推進法の一部改正へと繋がっていったのです。

 

4−2.カスハラ防止条例の内容

次に、カスハラ防止条例の内容について詳しく解説していきます。全国に先駆けて制定された東京都のカスハラ防止条例を例に見てみましょう。

 

▶参照:東京都のカスハラ防止条例の条文は以下よりご覧いただけます。

・東京都カスタマー・ハラスメント防止条例

 

 

まず、東京都は、単なる理念の掲示に留まらず、カスハラとは何かを定義づけしています。

それまでカスハラの定義は、厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」という行政上のガイドラインで示されていたものの、法制化されていたわけではありません。条例という法的基準が日本で初めて確立されたといえます。

 

<定義>(第2条)
「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するものをいう。」

 

 

そのうえで、カスハラ防止条例は、カスハラ対策を単なる顧客の苦情対応ではなく、企業が従業員を労働環境を守るための組織的な対策として強化する方向づけをしました。

事業者としては以下の5つの重要なポイントを押さえておきましょう。

 

  • (1)顧客のカスハラを明確に禁止
  • (2)事業者の責務の明確化
  • (3)事業者のカスハラ防止措置の努力義務化
  • (4)罰則規定なし
  • (5)ガイドラインの策定

 

(1)顧客のカスハラを明確に禁止

「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」(第4条)とし、顧客に対し明確な禁止規定を設けた点が注目されています。

それまでは従業員を守るための対応に重きが置かれ、事業主の雇用管理上必要な措置を講じる対策義務は明文化されていたのですが、顧客に対しても禁止事項を明記したことは、カスハラが単なる接客トラブルではなく、社会的に許されない行為であるという社会全体のルールへと押し上げた画期的な点といえます。

 

(2)事業者の責務の明確化

 

(第9条)
「事業者は、基本理念にのっとり、カスタマー・ハラスメントの防止に主体的かつ積極的に取り組むとともに、都が実施するカスタマー・ハラスメント防止施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、その事業に関して就業者がカスタマー・ハラスメントを受けた場合には、速やかに就業者の安全を確保するとともに、当該行為を行った顧客等に対し、その中止の申入れその他の必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

3 事業者は、その事業に関して就業者が顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」

 

第6条から第9条では、都、顧客等、就業者、事業者の各主体が担うべきカスハラ防止の責務を明確に定めています。そのうち、事業主の責務は第9条に定められていますが、ここでは留意するべき点が2点ありますので、確認しておきましょう。

 

1.就業者とされる対象

第2条の2において、就業者は「都内で業務に従事する者(事業主の事業に関連し、都の区域外でその業務に従事する者を含む。)」と定義されています。従来の労働法では保護されなかったフリーランスやボランティア、就業体験を行う学生等も含まれますから、例えば幼保の現場の場合、幼稚園実習や保育実習の学生、フリーランスの体育指導員もその対象となることに注意が必要です。

 

2.就業者のカスハラ加害防止

就業者はカスハラ被害者になり得る一方で、取引業者に対しては顧客という立場になるため、カスハラが発生する可能性はあります。第9条の3では、その点についても事業主に対し、就業者がカスハラ行為者にならないように努力義務を課しています。例えば、幼保業界でも図書や教材、給食食材の業者などとの継続的な取引においては園側が優位に立ちがちです。業者と職員の日頃のやり取りの中でカスハラが発生する可能性がありますから、園としては注意しておく必要があります。

 

(3)事業者のカスハラ防止措置の努力義務化

 

(第14条の1)
事業者は、顧客等からのカスタマー・ハラスメントを防止するための措置として、指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラスメント防止のための手引の作成その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 

 

第14条の1では、具体的な措置の内容を示したうえで、それらを講じるよう努力義務を課しました。このように明確に事業者に対して組織的な施策を求めた点に大きな意義があります。

 

(4)罰則規定なし

「(2)事業者の責務の明確化」で述べた事業者の責務とカスハラ防止措置については、あくまで「努めなければならない」とし、努力義務として定めています。また、事業者が条例に違反したとしても、勧告、命令、公表などの措置や罰則は規定しておらず、いわゆる罰則規定は設けられていません。

罰則を設ける場合、刑罰の対象となる行為を厳格に定める必要がありますが、かえって禁止されない行為はしても良いとの理解が広がる懸念があります。また、刑罰は最も厳しい法的な制裁であり、それ自体は決して望ましいものではなく、罰則を設けることによって顧客が委縮し通常の正当なクレームが出てこなくなるなどのマイナス効果も懸念されますから、社会全体の意識向上と啓発、カスハラの未然防止に重点が置かれたと考えられます。

 

(5)ガイドラインの策定

罰則規定がない一方で、条例に実効性を持たせるため、条例可決後、2024年12月19日に東京都は条例に基づいた「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を策定しています。

このガイドラインには、条例第11条第1項および第2項に基づき、以下の項目が示されています。

 

  • カスハラの内容に関する事項
  • 顧客等、就業者及び事業者の責務に関する事項
  • 都の施策に関する事項
  • 事業者の取組に関する事項
  • その他カスハラを防止するために必要な事項

 

そのうち、4つ目の「事業者の取組に関する事項」では、具体的に事業者が講ずるよう努めなければならない取組みを以下のとおり挙げています。

 

  • ①カスタマー・ハラスメント対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
  • ②カスタマー・ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
  • ③相談窓口の設置
  • ④適切な相談対応の実施
  • ⑤相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じて就業者に周知
  • ⑥相談を理由とした不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め周知
  • ⑦現場での初期対応の方法や手順の作成
  • ⑧内部手続(報告・相談、指示・助言)の方法や手順の作成
  • ⑨事実関係の正確な確認と事案への対応
  • ⑩就業者の安全の確保
  • ⑪就業者の精神面及び身体面への配慮
  • ⑫就業者への教育・研修等
  • ⑬カスタマー・ハラスメントの再発防止に向けた取組

 

「①~⑧、⑫」はカスハラ発生を未然に防いだりカスハラ発生時の対応を適切に行えるように日頃から備えたりするための取組みを、「⑨~⑪」はカスハラ発生時、「⑬」は事後対応のための取組みとなっています。

それぞれの取組みについては、対応例やポイントを添えて説明していますので、幼保業界に置き換えながら丁寧に確認してみることをおすすめします。

最後に、東京都は、条例の付則として「見直し規定」をあらかじめ条例の中に設けています。将来的な国の法改正との整合性や社会環境の変化を見据え、条例の規定について今後も弾力的な対応を可能にするためです。事業者も社会状況の変化に応じて、適切な対応が取れるよう常に最新の動向にアンテナを張っておく必要があると言えるでしょう。

 

5.幼保事業者として取り組むべきカスハラ対策の具体的な内容とは?

幼保事業者として取り組むべきカスハラ対策の具体的な内容

改正労働施策総合推進法では、カスハラ対策の強化が盛り込まれ、事業主は従業員からの相談に応じ、カスハラに適切に対応するための体制整備などが義務化されたことは、既に説明したとおりですが、国は、カスハラ対策の基本的な枠組みを以下のとおり紹介し、これから対策の構築に取り組む企業等の支援を行っています。

 

【企業等におけるカスハラ対策の基本的な枠組み】

<カスハラを想定した事前の準備>

  • (1)事業主の基本方針・姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
  • (2)従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
  • (3)対応方法、手順の策定
  • (4)社内対応ルールの従業員等への教育・研修

 

<実際にカスハラが起きた際の対応>

  • (5)事実関係の正確な確認と事案への対応
  • (6)従業員(被害者)への配慮の措置
  • (7)再発防止のための取組
  • (8)以上の「(1)」から「(7)」と併せ、相談した従業員のプライバシー保護措置を講じ、相談者である従業員に対し不利益な取扱いをしないことを定め、従業員に周知

 

 

▶参照:カスハラ対策のにおける基本的な枠組みについては、厚生労働省のリーフレットもあわせてご参照ください。

・厚生労働省「カスタマーハラスメント対策リーフレット(令和6年11月作成)」

 

 

それでは、幼保事業者として取り組むべきカスハラ対策の具体的な内容とは何でしょうか。ここでは、厚生労働省の枠組みに沿って、以下の7点にまとめてみました。

 

【幼保事業者におけるカスハラ対策の具体的な内容】

  • (1)カスタマーハラスメントの基本指針の策定、周知
  • (2)職員の相談窓口の設置
  • (3)マニュアル、対応方法、手順の策定
  • (4)職員研修
  • (5)事実関係の正確な把握と事案への対応
  • (6)職員への配慮
  • (7)再発防止のための取組

 

カスハラへの事前の準備として「(1)カスタマーハラスメントの基本指針の策定、周知」から「(4)職員研修」に、事後の対応として「(5)事実関係の正確な把握と事案への対応」から「(7)再発防止のための取組」にまずは取り組んでみることをおすすめします。

それでは、一つ一つ詳しく説明します。

 

5−1.カスタマーハラスメントの基本指針の策定、周知

カスハラ対策として最初に取り組むべきことは、カスハラ基本方針の策定です。

これは園として、カスハラをどのように捉え、どのような姿勢で対策を行うのかということを明確に定める、ということです。そしてその姿勢として求められているのは、「何としても職員を守る」という明確なメッセージです。基本方針を策定するにあたっては、「職員をハラスメントから守る」という園の姿勢が示されるようにしなければなりません。

例えば、基本方針に含める要素としては以下のようなものがあげられます。

 

  • 法人の理念や使命、指針を策定する目的
  • カスタマーハラスメントの定義、行為の具体例
  • カスタマーハラスメントへの社内的な対応姿勢
    (職員のケア、研修の実施、相談窓口や外部機関との連携など)
  • カスタマーハラスメントへの社外的な対応姿勢
    (カスハラ行為を受けた場合の利用契約解除、外部機関への相談など)

 

基本方針を策定することで、自園がカスハラにどう向きあうのか、その姿勢をあらためて考えることができるようになるでしょう。

次に、園の基本方針が決まったら、職員がその内容について理解できるように周知します。

自園の基本方針を明確に伝われば、職場はカスハラを重大な問題と捉えカスハラを放置しない、カスハラから職員を守り職員の人権を尊重してくれる、問題行為を受けたら相談してよいといった意識を職員に根付かせることができるはずです。

周知の方法としては、研修の実施が効果的です。研修は職員がカスハラの知識を学び適切な対応方法を身に付けるための有用な機会ですが、まずは園のカスハラに対する基本的な姿勢や職員へのメッセージを伝えることから始めてみましょう。

さらに、幼保現場における職員へのカスハラ予防のためには、保護者やその家族等にカスハラに対する園の姿勢を伝えることも重要です。

カスハラ被害が発生する背景には、保護者の過剰なまでの我が子への保育・教育サービスへの期待や、消費者意識の高まりによる職員に対する優位的な態度といった原因があります。これらを避けるためには、入園の際に、どのようなことがカスハラに当たるのか、カスハラ行為と認められる場合の園がどのように対応するのか、場合によっては契約解除になる可能性がある旨等を事前に示しておくことによって、未然にトラブルになることを防ぐことができます。

 

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

弁護士法人かなめでは、カスハラ基本方針に必ず「法人の理念や使命、指針を策定する目的」を明記することをおすすめしています。単にカスハラ防止のみを前面に出してしまうと、保護者との対立構図を生みかねません。

 

法人や使命をベースとして掲げることで、園児により良い教育・保育サービスを提供するための策定であるというメッセージを保護者の方々に明示できます。また、一方的な指針の押し付けではなく、園児のために協力をお願いする姿勢を示すことは、保護者の方々にも受け入れやすくなるでしょう。

 

 

5−2.職員の相談窓口の設置

カスハラ対応は相手方への初期対応が肝心ですが、同時に、事業主として、いち早く現場の職員をカスハラ被害から守ることに注力する必要があります。

職員がカスハラに直面した際、あるいはカスハラであるかどうか判断ができないが不安を感じている際に、「誰に相談すればいいのかわからない」という状況を作らず、園として速やかに対応できる土台を整えておくことが重要です。

職員の中には、責任感などからカスハラ事案を一人で抱え込んでしまったり、管理職の手を煩わせないように現場だけで対応しようとしたりして、園として問題を把握することが遅れ、相手方への対応が後手に回ってしまったり、職員が結果的にメンタル不調や離職につながることになってしまったりします。そのため、園としては、職員の誰もがカスハラを相談できる窓口を設置し、職員をサポートする体制を整備する必要があります。

ただし、相談窓口はただ設置すればいいというものではありません。窓口の設置にあたり、相談先の責任者や連絡先、相談可能時間など、最低限のルールを定めておきましょう。これは相談の迅速性を高めるだけではなく、相談する職員と相談窓口となる職員の双方の負担を考慮しバランスを取るためでもあります。どのように運用すればカスハラ対応における相談窓口として効果的であるかを考えていくことが大切です。

 

▶参照:職員の相談窓口の設置の必要性とポイントについて解説した「カスハラ対応における社内相談窓口の設置の必要性とポイントについて」の動画をお役立てください。

 

 

また、相談窓口は園内で設置し、担当者や担当部署を決めて相談の一時対応を行う運用とすることが多いですが、外部の相談窓口として弁護士などに対応を依頼することも非常に有効ですから、あわせて検討してみるとよいでしょう。

 

5−3.マニュアル、対応方法、手順の策定

園の基本方針が定まったら、カスハラマニュアルを策定しましょう。

マニュアルには、基本方針に沿って、カスハラの判断基準やカスハラ対応方法をまとめ、手順を図示したカスハラ発生時のフローチャートを作成すれば、職員が判断に迷うことなく対応できるようになります。

まず、カスハラに該当するかどうかの判断について、法令上のカスハラの定義だけでは判断難しい場合があります。自園で起こることが想定される具体例をあわせて記載し、基準をわかりやすく説明しましょう。

次に、カスハラ対応の具体的な方法としては、特に初期対応について丁寧に記載しましょう。繰り返しになりますが、カスハラは初期対応が肝心です。

例えば、以下のような点があります。

 

  • 相手方の不当な要求や主張に反抗や無視をしたり、逆に安易に園の責任や損害賠償責任を認めたりしない。
  • 相手方の主張する事実について、関係職員へのヒアリングや監視カメラ映像で確認する。
  • 相手方に対応する際は2人以上で対応し、うち1人は記録係となって問題行動をメモする。
  • 対面や電話での問題行動は、あらかじめスマートフォン等を用意し録音する。
  • 暴力的な言動がある場合は、警察に相談する。
  • 問題行為を受けたら速やかに弁護士に相談する。

 

 

また、相手方に対する対応と並行し、職員と管理職間の相談や報告といった園内部の手続きについても、対応方法を記載します。

カスハラ発生時に誰に相談や報告をするのか、管理職は職員にどのような指示を出すのか等をあらかじめ決めておく必要があります。園全体で情報共有に努め、管理職が状況を正しく把握し対応を判断するためです。

こうした対応手順をフローチャート化すれば、カスハラ対応の全体像を可視化でき、組織としてよりカスハラに対する共通した認識を持つことができるようになります。フローチャートの作成にあたっては、カスハラを受けた職員、管理職、本部職員といった立場ごとの対応を定める方法、暴言型や時間拘束型といったカスハラ行為別に対応を定める方法等がありますが、自園の目的にあわせてプロセスを分類していきましょう。

実効性のある対応フローが作成されれば、職員も安心して日々の業務に取り組むことができますし、実際にカスハラ行為を受けた際にも落ち着いて対応することができます。

そして、マニュアル策定において最も重要なことは、マニュアルが自園の現場に即したものであることです。策定にあたっては、管理職だけではなく、現場の職員の意見を取り入れ、状況に応じて見直しを重ね、適宜更新していくことが大切です。

 

5−4.職員研修

カスハラの基本方針やマニュアルを策定、周知したとしても、実際にカスハラ行為を受けた職員が的確に対応できるわけではありません。職員が、幼保の現場に即した、より実践的なカスハラ研修を受けることで、カスハラ被害を最小限に抑え、職員の精神的負担を抑えることができます。

例えば、幼保の現場で起こったカスハラの具体的な事例を知ることで、相手方の言動がカスハラであるかどうかを見極める力を身に付けることができますし、ロールプレイング方式で参加者がそれぞれ職員役とカスハラをする保護者役を演じて対応方法を試せば、より柔軟な対応スキルを習得したり、新たな課題を発見したりすることができるでしょう。

定期的に内容の充実したカスハラ研修を実施することで、間もなく施行される法定義務をクリアするためだけではなく、園が職員を守ろうとしている姿勢を示すことができます。職員の職場への信頼感が増し、業務へのモチベーションや職場への貢献意欲が向上することでしょう。

また、そういった職員の安心感や自信は、カスハラ行為に対する毅然とした姿勢につながり、新たなカスハラ行為への抑止となります。職員らは本来注力すべき園児への教育・保育サービスへ意欲を傾けることができるようになります。

カスハラ研修は、外部機関が専門講師を用意して実施する外部研修や、園内で担当職員が講師となって実施する内部研修など、様々な方法がありますが、カスハラの定義や、対応方法、防止策など、学ぶべき内容は多岐にわたりますから、自園に適した研修方法を選択し、活用していきましょう。

 

▶参考:カスハラ研修について詳しくお知りになりたい方、どうやって企画したらよいか困っている園の方は、以下の記事で解説していますので、ぜひご活用ください。

・カスハラ研修とは?必要性や効果、学ぶ内容、活用方法を事例付きで解説

 

 

5−5.事実関係の正確な把握と事案への対応

カスハラへの事前準備とあわせて、カスハラ事案が実際に発生した後の対応について考えていきましょう。

 

(1)事実関係の正確な把握

カスハラ事案が発生したり、相談窓口や管理職に職員からカスハラ相談があれば、まずは事実関係を速やかに確認します。

当事者である職員や周りで目撃していた職員から聞き取りを行い、事案発生時の事実内容を時系列に沿って整理しましょう。職員の主張が必ずしも事実であるとは限りません。被害を受けたショックや自責の念から事実を誇張したり内容が食い違ったりすることは珍しくありません。

聞き取る側は先入観を入れず、なるべく複数人から証言を聞き取ります。そして、聞き取った内容から、防犯カメラ映像や電話の記録等の客観的な資料を調査し、聞き取った内容と客観的事実との整合性を確認します。

 

(2)カスハラかどうかの判断

事実関係の正確な把握ができたら、相手方からの要求の正当性の判断をしましょう。相手方からの要求には、「通常」の要求と「理不尽」な要求があります。通常の要求については、真摯に対応をしなければ、園の信用を失い、園児や保護者との信頼関係を壊してしまうことになりますから運営の改善に繋げる必要があります。

最初から相手方の要求をどちらかに決めてかからず、まずは要求の内容を確認し、その正当性を判断することが重要です。また、その要求の手段・態様が社会通念上相当であるかどうかもあわせて検討します。要求内容が通常であっても、怒鳴り声や威圧的な態度で要求してくる場合はカスハラ行為と判断できます。

 

▶参考:どういった行為がカスハラにあたるのか、幼保現場で起こり得る具体的なカスハラ事例をあげて、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

・カスハラ事例!幼保現場でよくあるカスタマーハラスメントの例を解説

 

 

(3)事実関係の証拠化、事案への対応

カスハラ行為と判断できたら、その後の対応や交渉をスムーズに進めるために、カスハラ行為の事実について法的な観点から客観的な証拠を収集し保全します。

カスハラ行為によって園の運営などに支障を来す場合、最終的に何らかの法的措置をとる場合もあります。しかし、相手方が自らの発言を認めないケースも少なくありません。そこで、事実確認ができる映像や録音等の客観的な証拠を揃えておくことで、警察に相談する場合や、行政から調査が入った場合、実際に裁判になった場合等に提示することができ、こちらの主張を裏付けることができるのです。特に、カスハラを理由として、利用契約の解除や法的措置まで検討する場合にも、多くの証拠を収集する必要がありますから、事案が発生した初期の段階から適切に対応にあたることが必要です。

具体的には、証拠収集や保全を念頭に置いて、相手方との対応の際には、複数人で対応すること、相手方の問題言動を必ずメモして記録すること、管理職への報告体制を整備しておくこと等、初動段階から現場レベルでとるべき具体的な対策がありますから、カスハラへの事前対策としてマニュアル等で整備しておきましょう。

 

5−6.職員への配慮

事実関係の把握や証拠化と同時に、カスハラ被害を受けた職員に対して、速やかに身体の安全確保と精神面への配慮が必要です。

 

(1)職員の安全の確保

物を投げられる、殴られる等の身体的暴力や、体を触るといったセクハラ行為があった場合は、職員の安全確保を行わなければなりません。そのような行為が予見される場合には、職員が行為者に接することがないように、送迎時の引き渡し担当から外す、弁護士や管轄の警察に相談する等して対応します。

また、執拗に電話がかかってくるような場合、一時的に受電者を現場の職員ではなく管理職に一本化する等し、現場の職員のダメージを最小限に抑え、日常業務に支障が生じないように対応することも検討しましょう。

 

(2)精神面への配慮

カスハラにあった職員には、「大変だったね」「辛かったね」といった声かけをしながら、まずは話を聞くようにしましょう。気持ちが落ち着かない、恐怖から立ち直れないなどのメンタルヘルスの不調の兆候がある場合には、臨床心理士・産業医への相談や、専門の医療機関の受診などを促します。

また、被害を受けた職員がベテランであって気丈にふるまっていたとしても、職員自身が気づかないまま大きな精神的ダメージを受けており、後々になって不調が出てくる場合もありますから継続して注意します。

また、カスハラのきっかけが職員のミスによるものであったとしても、職員一人が責任を抱え込むことがないよう、カスハラを組織全体の問題として対応する姿勢を示していきましょう。

他にも、日頃から定期的に職員全員に対してストレスチェックを行ったり、業務の悩みやカスハラについてアンケートを実施したりして、職員が安心して働くことができる環境を整えておくことが大切です。

 

▶参照:弁護士法人かなめの関連法人である株式会社WELLVISIONでは、カスハラにあった職員のメンタルヘルス不調がある場合に、臨床心理士・産業医などの専門家へ緊急で相談ができる「緊急メンタルケアサービス」を運営しています。こちらも参考にしてください。

・精神的負担を抱える職員のための緊急メンタルケアサービス「ウェルメンタルケアサポート」はこちら

 

 

5−7.再発防止のための取組み

カスハラの再発を防止するためには、定期的な取組の見直しや改善を行う必要があります。管理職から職員への注意喚起、カスハラ研修を活用して周知するほか、カスハラ事案が発生した際には園内で情報共有し、事案が落ち着いたら対応が適切であったか、マニュアルを見直す必要がないか、さらに必要と思われる研修はないか等を検討してみましょう。

実際の対応経験の振り返りは重要な取組のひとつです。事案の大小にかかわらず、相手からどのような言動をされたか、どう切り返せばよかったか、責任者への報告はスムーズであったか、カスハラ行為は本当に記録化ができたか等、丁寧に事案を振り返ることは有効な再発防止策です。対応方法を継続的に見直し、改善することで、よりブラッシュアップした組織体制やマニュアル作りが可能となるでしょう。

 

6.カスタマーハラスメントを未然に防ぐ取組み

カスタマーハラスメントを未然に防ぐ取組み

カスハラを未然に防ぐ効果的な取り組みとはなんでしょうか。結論から言えば、カスハラに対する園の姿勢を外部に向けて明確に発信し、ルールを書面化することが重要です。具体的には、以下の3つの取り組みを通して実現していきましょう。

 

(1)カスハラ指針の外部への周知

園としてのカスハラに対する毅然とした姿勢をポスターやリーフレット等で保護者へ可視化して伝えることで、ハラスメントの強力な抑止力となり、職員が安心して働ける職場環境を作ります。

 

(2)保護者との契約書面内容及びその説明の工夫

入園時の利用契約書や重要事項説明書等の契約書面を見直し、トラブルを招く表現を排除し、保育事故時の対応手続きについて事前に説明しておくことで、事故後のトラブルを防ぎます。また、契約解除事由を明記し法的根拠を備えておくことで、退園に向けた手続きをスムーズにします。

 

(3)ハラスメント行為の抑止

抑止力のあるシステムや設備を導入し、その設置を保護者へあらかじめ伝えることで、感情的な暴言や無理な要求といったハラスメント行為を未然に防止します。万が一の際には客観的な証拠となるだけでなく、対応する職員の心理的負担を大きく軽減します。

 

それでは、それぞれについて説明していきます。

 

6−1.カスタマーハラスメント指針の外部への周知

カスハラ指針を外部へ発信し周知する方法として、視覚的に伝わりやすく効果的なものは、指針やカスハラが発生した場合の対応方法を明確に記載したリーフレットやポスターです。リーフレットは入園時だけはなく定期的に保護者に配布し、ポスターは園の廊下等、常に目につく場所に掲示しておきましょう。

自園オリジナルのものを用意することが難しい場合は、厚生労働省や各自治体等がホームページで公開しているリーフレットや啓発ポスターを利用することもできます。中には任意のイラストを追加できるものもあり便利です。公的機関の啓発ポスターを利用すれば、カスハラが現在の社会的規範には反しているという強いメッセージを発信できる効果もあります。

 

厚生労働省「カスタマーハラスメント対策ポスター」

▶参照:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策ポスター」

 

また、園のホームページにカスハラ指針を掲載する方法もあります。昨今、保護者は園の申込にあたってホームページを閲覧することが多いことから、指針をホームページに掲載しておくことは事前の周知に繋がります。

カスハラに対して毅然と立ち向かう姿勢をより示すことは、園への就職を検討している求職者へのアピールポイントにもなり得ます。幼保の現場で働く職員の多くは、保護者の対応に困ったりカスハラの被害を受けたりした経験があり、中にはそれらを起因として離職する職員もいます。最終的に離職を決断する原因には、カスハラそのものが辛かったというよりも、職場が守ってくれなかったといった声があることも事実です。一旦離職した教諭や保育士の方が、教育・保育の現場に戻りたいという気持ちを後押しするためにもカスハラ指針をホームページに掲載し、安心して応募できるような態勢を整えておきましょう。

 

6−2.保護者との契約書内容及びその説明の工夫

入園時に取り交わす利用契約書や重要事項説明書等の交付書面について、あらためて見直してみましょう。

幼保業界では、認定区分によって入園時に必要な契約関係書類が多少異なるものの、ポイントをしっかり抑えた書面を作成し説明しておくことで、保護者や関係者間でのカスハラの火種を事前に除去することができます。また、クレームになりそうな場合でも、書面を根拠にスムーズに対応できることがあります。

ここでは、各契約書面において特に注意をすべき4点について解説します。

 

(1)利用契約書・重要事項説明書の作成見直し

まずは、自園の利用契約書・重要事項説明書(園則、運営規定、園のしおりを含みます)の記載事項を見直すことから始めましょう。既に園で用意し入園時に必ず交付するようにしているから十分というわけではありません。

国は子ども・子育て支援法に基づく「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準」を定めており、各自治体では地域の実情に応じた独自の条例を制定し、認可基準や運営規程を定めています。

 

例えば、福岡市では、「福岡市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準を定める条例」において、以下のように定めています。

 

第20条 特定教育・保育施設は、施設の運営についての重要事項に関する規定を定めておかなければならない

(1) 施設の目的及び運営の方針
(2) 提供する特定教育・保育の内容
(3) 職員の職種、員数及び職務の内容
(4) 特定教育・保育の提供を行う日(法第19条第1項第1号に掲げる小学校就学前子どもの区分に係る利用定員を定めている施設にあっては、学期を含む。以下この号において同じ。)及び時間並びに提供を行わない日
(5) 第13条の規定により教育・保育給付認定保護者から支払を受ける費用の種類、支払を求める理由及びその額
(6) 第4条第2項各号に定める小学校就学前子どもの区分ごとの利用定員
(7) 特定教育・保育施設の利用の開始及び終了に関する事項並びに利用に当たっての留意事項(第6条第2項及び第3項に規定する選考方法を含む。)
(8) 緊急時等における対応方法
(9) 非常災害対策
(10) 虐待の防止のための措置に関する事項
(11) その他特定教育・保育施設の運営に関する重要事項

※特定教育・保育施設とは認定こども園、幼稚園、認可保育所

 

▶参照:福岡市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準を定める条例

 

 

他の自治体でも同様の内容となっていますので、自園の自治体の条例をあらためて確認してみましょう。さて、現在、保護者に交付している書面では、これらの重要事項をすべて網羅されているでしょうか。

各項目を確認してみると、記載があるものの情報が不十分であったり、項目そのものが抜けていたりする可能性がありますから、丁寧に確認していきましょう。

 

(2)保育事故発生時の対応

カスハラが発生するきっかけの一つに教育・保育時間内での園児の事故対応があります。事故が発生時した場合、状況把握や謝罪、行政への報告等、園が対応すべきことは非常に多いため、最も配慮すべき保護者とのコミュニケーションに不足が生じ、金銭的な補償について保護者の誤解を招く事態も想定されます。

このようなカスハラ対応において、特に確認しておくべき項目の一つが「事故発生時における損害賠償責任の規定」です。前述した規定すべき重要事項の「その他特定教育・保育施設の運営に関する重要事項」の中で記載したり、園で利用している利用契約書で別途規定を設けたりしているものですが、その対応に関して「速やかに」損害を賠償する、というような文言が入っていないでしょうか。

もちろん、事業所に責任のある事故が発生すれば、遅滞なく損害を賠償しなければなりません。しかし、その文言には注意が必要です。保育事故が発生した場合、必ずしもすぐに損害額が確定するわけではなく、具体的には、治療に時間を要するケースでは、治療が終了しない限り、治療費の総額や慰謝料の金額は定まらないことになります。

また、保育事故が発生した場合、園は、加入している任意保険や共済を利用して賠償することが多いですが、任意賠償保険会社による事故原因の調査等も必要なため、実際に賠償がされる時期と、保護者が考える「速やかに」との間には、どうしても差が出てきます。

そもそも、保育事故後の保護者は、当然のことながら平常心ではないことも多く、「なんで保険を利用するんだ、園が今すぐに直接支払えばいいではないか」と憤り、保険を利用すること自体がクレームにつながることはよくあります。

そうであれば、「速やかに」という、保護者に過度な期待を持たせ、誤解を生むような文言は初めから削っておき、事前に任意保険を利用する賠償の手続きについてあらかじめ告知をしておく方が、あらぬ紛争を招きません。さらに保険利用についての協力のお願いをしておくことで、実際に事故が発生した場合の説明がスムーズにできます。

 

(3)解除事由の明確化

カスハラが原因で退園してもらうことなんてできないと思われる方が多いかと思いますが、カスハラは十分に契約解除事由(一度成立した契約を、当事者の一方的な意思表示によって消滅させるための正当な根拠)となり得ます。

カスハラを契約解除事由として主張するためには、あらかじめ、契約解除となる可能性があるカスハラ行為を具体的に利用契約書や重要事項説明書に記載しておくことが重要です。そうすれば、カスハラが発生した際に、園は書面の文言を理由に、行為の中止を通知したり、「このような行為が続く場合には、契約を解除せざるを得なくなります」と説明をしたりして、行為の改善を促すことができます。

そして、契約書面の規定に従い、具体的なカスハラ行為の中止を求めていくことで、教育・保育サービスの提供を継続できない正当な理由を基礎付ける事情ともなっていきます。

以下は、契約書面の契約解除事由に関する記載事項のポイントです。

 

1.契約解除事由の対象者に園児だけでなく、保護者、親族、その関係者が含まれることを明確にする

幼保現場におけるカスハラでは、保護者が加害者になるケースが大半ですが、中には園児の親族や保護者の知人が加害者となっているケースがあります。一方、通常、契約書面を交付されているは保護者です。したがって、園児の親族や関係者が原因となるカスハラ行為は、保護者自身の行動に何ら問題がない場合、保護者との契約の解除事由とはならないことになってしまいますから、必ず親族やその他関係者も含めて記載しましょう。

 

2.解除事由となる行為を明確にする

契約書には、契約解除の可能性がある行為を、できるだけ明記しておくようにしましょう。例えば、以下のような視点から、条項を検討することが有益です。

 

  • 禁止したい行為を明確にする
  • 誰に対する行為を禁止するかを明確にする

 

これらを踏まえ、以下のような条項をお勧めしています。

 

▶参考規定例:

<利用の終了に関する事項>

【利用終了となる場合】

  • 1号認定子ども及び2号認定子どもが小学校就学の始期に達したとき
  • 3号認定子どもの保護者が、法令等に定める支給要件に該当しなくなったとき
  • 保護者から退園の願出があったとき

 

【当園より利用契約を解除する場合】

  • 利用料の支払いが3ヶ月以上遅延した場合
  • 保護者、園児、その家族ないしはその関係者が当園、当園の職員その関係者又は他の園児に対して、この契約を継続し難いほどの迷惑行為、背信的行為などを行い、利用の継続について重大な支障又は困難が生じた場合
  • 病気その他の理由により、他の園児に悪影響を及ぼす恐れがある場合
  • その他、利用継続の重大な支障又は困難が生じたとき

 

 

併せて、どのような行為がカスハラに該当するかということをあらかじめ分かりやすく列記したリーフレット等を準備し、それに沿って説明するとより理解が得やすいでしょう。

 

(4)各種同意書の取付け

契約書面を交付する際に、保護者から必ず同意書を取り付けることをおすすめします。

前述した「福岡市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準を定める条例」第5条では、以下のように定められています。

 

「あらかじめ、利用の申込みを行った保護者に対し、運営規程の概要、職員の勤務体制、支払を受ける費用に関する事項等重要事項を記した文書を交付して説明を行い、保護者の同意を得なければならない(一部抜粋)。」

 

保護者の同意は必ずしも書面で取り付けなければならないものではありません。しかし、同意を書面化することで、園が重要事項を説明し、その内容について保護者が同意した事実について客観的な証拠となり得ますし、署名をする保護者に対しては重要な内容であるという認識を持ってもらう効果が期待できます。

また、同意書には2箇所の署名欄を設け、父母両方からの署名を記載してもらうようにしましょう。片方の保護者からしか署名をもらっていない場合、もう片方の保護者から「内容に合意していない」と反論される可能性があるからです。

以上のように、利用契約書や重要事項説明書の規定を見直す際は、不要なトラブルを避けるための表現の精査をすると同時に、重要事項について適切な説明をしておくことが重要です。園と保護者との認識のずれをなくすことは、カスハラの発生要因を排除するだけでなく、園の運営について、保護者の理解が深まり、安心して園児を預けられる信頼関係にもつながることになるでしょう。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

ハラスメント防止を意識した文言を交付書面に記載しておくことで、保護者らからのハラスメント行為の抑止効果が期待できます。

 

しかし、幼保・保育事業所は、子ども・子育て支援法および児童福祉法の趣旨に沿ってサービスを提供していますので、正当な理由なくして、契約の解除はできません。また、契約解除は、園児が保育を受けられなくなるという不利益が非常に大きいため、解除事由として規定している行為に該当する行為があったからといって、簡単に解除の判断ができるわけではありません。

 

もっとも、具体的なカスハラ行為を定めておくことで、園としても現場の職員としても、保護者らに対して堂々と説明をすることができるという大きなメリットがあります。そして、園としては、「カスハラ行為を許さない」という強い意思表示にもなり、現場の職員の方も、安心して日々の業務に打ち込むことができるのです。 園として、解除条項をしっかりと定めることには、解除をしやすくする、ということ以上に、大きな意義があるのです。

 

 

6−3.ハラスメント行為の抑止

カスハラ対策として効果的な設備を導入することもおすすめです。導入した際には、設備を設置していることが保護者にもわかるように「見える化」することで、より効果的に活用できます。

 

(1)電話等の録音

電話対応時には、理不尽な要求や暴言を浴びたり、言った言わないのトラブルに発展したりすることがよくあります。すべての通話を自動録音できるシステムの導入や、対応する職員が不安を感じたらすぐに電話機のボタンを押して録音を開始できるように電話機を設定する等して、カスハラ行為の記録を残すことができるようにしておけば、客観的な証拠化ができるだけでなく、対応する職員の心理的な負荷を軽減することができます。

 

(2)防犯カメラの設置

園内の各所に防犯カメラを設置することもおすすめです。入園時に、カメラを設置し録画していることをあらかじめ告知しておくことで、相手方が録画されていることを意識し、冷静な行動をとることが期待できます。また、録音と同様に、映像という客観的な記録は、相手方のカスハラ行為の決定的な証拠となり得ます。

 

7.カスタマーハラスメントへの対策事例

事業主として職員を守るためにあらかじめ組織としてできることは何でしょうか。

厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(p18) 」によると、以下の4つの取り組みを実施するとよいとされています。

 

  • 1.事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
  • 2.従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
  • 3.対応方法、手順の策定
  • 4.社内対応ルールの従業員等への教育・研修

 

事業主がカスハラ対策への取組姿勢を明確に示し、組織として従業員を守り尊重するという基本方針を従業員に周知・啓発したうえで、カスハラを受けた従業員が気軽に相談できるよう相談窓口を設置し、カスハラ行為を受けた際には適切な対応ができるよう対応方法をあらかじめ決めて、その対応ルールについて日頃から研修等を通じて従業員への教育を行うというものです。

幼保業界でもこれに沿って以下のような対策を行っている園がありますので、自園での導入を検討してみることを強くお勧めします。

 

  • カスハラ対策指針を作成し、園のホームページに記載する
  • カスハラ行為を受けた際やメンタル不調が起きた際の職員の相談対応者を上位者クラス(主任や副園長など)の中で決めておく。
  • カスハラ行為への対応ルールを具体例別にQ&A形式でマニュアルとして作成する。
  • カスハラ対応専門の講師を招き、職員への園内研修を定期的に実施する。

 

また、近年ではカスハラ対策においてもAIの活用が進んでいます。音声認識により暴言や過度な要求等の兆候を検知し、管理職へリアルタイムで通知したり、通話内容の自動テキスト化と要約化により、担当者の記録と管理職への報告業務の負担を減らして、証拠化にも役立てたりすることができるようになっています。

また、カスハラを疑似体験できるAIとのロールプレイング研修が実施されるなど、研修ツールとしても活用されています。コールセンター業務等で積極的に導入が進んでいますが、手軽に導入できるクラウドサービスや中小企業向けのシステムは急速に広がっているため、近い将来、幼保現場でも導入されるようになるでしょう。

 

8.弁護士などの専門家にカスタマーハラスメント対策を相談すべき理由とは?

いざ自園でカスハラ対策を実施しようとしても、何から始めてよいものか迷ってしまうと思います。カスハラを未然に防ぎ、事案が発生した場合には適切な対応と同時に職員へのフォローをし、事後には再発防止のための対策が求められ、事業者が迫られる対応は多岐にわたります。そこで、カスハラ対策については弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

専門家に相談すれば、事業者の負担を減らすことができるだけでなく、園が法的なリスクを回避しつつ、現場職員のメンタルヘルスを守り、適切な対応方法をとることができるようになり、組織的なカスハラ対策が可能になるはずです。

例えば、実際に、弁護士に相談することで、次のようなメリットを期待できます。

 

  • (1)カスハラに対する専門的な知識や経験がある。
  • (2)専門的な知識や経験を基にした適切な対応を提案してもらえる。
  • (3)証拠の収集や保全方法を指示してもらえる。
  • (4)職員の精神的負担を軽減することができる。
  • (5)速やかに法的措置を実行できる。
  • (6)事業所を組織として強くできる。

 

▶参考:カスハラ対応を弁護士に相談するメリットについては、以下の記事で具体例をもとに相談するタイミングや費用、探し方等について解説していますので参考にしてください。

・カスハラ対応を弁護士に相談するメリットとは?役割や選び方、具体例も解説

 

 

9.実際に弁護士法人かなめの弁護士が幼保の現場で発生したカスハラ対応をサポートした事例

弁護士法人かなめでは、これまでに数々のカスハラに関する相談を受けてきました。具体的には、以下のような相談を受け、対応しました。

 

9−1.事例1:保育事故に起因して発生したカスハラ事案

 

(1)事案の概要

園内で、園児の転倒事故が発生し、その後園としては適切な救護措置や保護者への連絡等を行ったが、保護者から「転倒事故は園の責任であるから、治療費の支払いや、治療にあたって登園できず、仕事を休んだ分の休業補償をしろ」と要求された。

保険会社が事故の調査をしたところ、転倒事故について園側の過失等は認定できないということであったため、補償ができない旨を伝えたところ、保護者が激怒し、説明をした職員を数時間にわたって引き留めて怒鳴り続けたり、送迎の際に担任の職員を引き留めて同様の要求の他「子供が転倒しないように1人職員を張り付かせろ」と要求し、職員らが疲弊していた。

 

(2)弁護士法人かなめの対応

転倒事故に関して、保険会社に確認をとったところ、お見舞金という形であれば少額であるものの支出が可能であるとの説明を受けたため、まずは園側から、園で発生したことについての謝罪は行った上で、今回の事故についてお見舞金を支払うという形での解決を提案していただいた。

その上で、園児の健全な発育や、職員の人員数から、1対1での保育はできない旨を説明いただき、これで納得できないようであれば、これ以上対応できないことをはっきり伝えるよう助言した。

その結果、お見舞金を受け取ることで納得を得られ、しばらくは職員に嫌味を言うなどの言動はあったものの、その後は落ち着き、通常保育ができるようになった。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

保育事故が発生した際、保護者は冷静ではいられないこともあり、要求が過激になることは珍しくありませんし、園としては保護者の思いには誠実に耳を傾ける必要があります。

 

しかし、その思いを受け入れることと、園としてどこまでの対応をするかは別問題です。

 

道義的な謝罪をすることは必要ですが、法的な義務があることとないことを切り分けた上で、園としてどこまでの対応をするかの方針を決め、はっきりと伝えることが重要です。

 

また、園に過失がない場合、損害賠償義務がない以上、原則として保険金が支払われません。もっとも、保険の内容によっては、通院期間や入院期間などによってお見舞金が出るケースもありますので、保険会社に確認することも重要です。

 

一定の解決金等の支払いにより、保護者の態度が軟化し、解決に繋がることもあります。そして、方針を決めた後は、職員全員一丸となって、決められた対応や回答を徹底することが重要です。どれだけ要求をしても、園としての態度が変わらないとわかれば、徐々にフェードアウトしていく場合もあります。

 

 

9−2.事例2:過度な感染症対策を求めるカスハラ事案

 

(1)事案の概要

感染症が流行していた時期、ある保護者から、「園で使う机のすべてにアクリル板を設置して欲しい」との要求があった。園としては、必要な感染症対策をしていたことから、要求には応じられない旨を伝えたが、これに対して激昂し、「園児の安全をどう思ってるんだ」「子どもが感染症に感染したら責任を取るのか」などと捲し立て、その後も、同様の要求が続いている。

 

(2)弁護士法人かなめの対応

園の方針として、対応できないことは対応できないとはっきりさせるため、口頭ではなく、書面を出すことを提案し、園名義で文面を作成した。

 

具体的には、

  • 園として取っている感染症対策の内容
  • 要求のあった対策については園としては不要と考えており実施できないこと
  • 園の方針に不信感があるのであれば、これ以上の対応はできないため、保育の継続が難しいこと

などを記載し、保護者に交付をした。

書面の内容について、何度か架電や面談の要求などがあったが、その後、園児は転園することとなった。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

 

クレームは、園の運営等に対する貴重な意見であり、原則としては真摯に受け止める姿勢を持つことが重要です。

 

しかし、園の方針決定に介入するような要求については、必ずしも対応すべきではありません。はっきりと、対応ができないことを伝えましょう。

 

口頭で同様のやり取りが続いている場合には、一度書面で申し入れをすることが重要です。これは、園としての意見を明確にすると同時に、保護者からの執拗な要求が継続していることを示す1つの証拠となり、万が一、園から利用契約を解除しなければならない場合などに重要な証拠となります。

 

園の方針をはっきり示すことで、言い分が通らないと考えた保護者が、今回のように転園を選ぶケースも少なくありません。仮に、それでも要求が止まらないような場合には、カスタマーハラスメントに詳しい弁護士に相談するようにしましょう。

 

 

また、弁護士法人かなめの代表弁護士 畑山 浩俊が、カスハラに関する具体的な相談事例を紹介しながらカスハラ対応に関して解説した動画も参考にしてください。

 

 

 

 

10.カスタマーハラスメント対策に関して弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

弁護士法人かなめの弁護士に相談したい方はこちら

弁護士法人かなめでは、幼保業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • (1)カスハラ指針の策定、マニュアル等の策定
  • (2)契約書のリーガルチェック
  • (3)カスハラ研修の実施
  • (4)実際のカスハラ事案への対応
  • (5)幼保事業者の法務面を総合的にサポートする顧問弁護士サービス「かなめねっと」

 

以下で、順番に説明します。

 

10−1.カスハラ指針、マニュアル等の策定

カスハラ対策で最初に取り組むべきことは、カスハラへの基本方針の策定です。園内だけで話合い、策定に取り組むことも可能ですが、第三者的視点や法的な観点を取り入れるという意味でも、弁護士に策定の協力を依頼することには意義があります。

弁護士法人かなめでは、幼保現場のカスハラ事案への対応経験の豊富な弁護士が、カスハラ指針の策定のサポートをします。

 

10−2.契約書面のリーガルチェック

カスハラを未然に防止する観点からも、利用契約書や重用事項説明書等の契約書面の記載内容にはいくつかのポイントがあります。

弁護士法人かなめでは、契約書内容のリーガルチェックや、あらかじめ記載しておくべき文言について、これまでの経験に基づいた的確なアドバイスをすることができます。

 

10−3.カスハラ研修の実施

弁護士法人かなめでは、カスハラについてその実態、原因から対処方法、予防策まで、園がカスハラに対応していくために必要な知識を身に付けられる「かなめ研修講師サービス」を実施しています。

保育に関する様々な専門的研修とは異なるカスハラに特化したテーマについて定期的な研修を実施することにより、職員1人1人のカスハラ対応への意識を高め、冷静で適切な対応をとることが可能となります。

実際には、以下のようなテーマで研修を実施しています。

 

  • モンスターペアレントの見分け方
  • モンスターペアレント問題が起きる原因
  • モンスターペアレントの具体的な事例
  • モンスターペアレントへの正しい対処方法

※モンスターペアレント対応のテーマとなっていますが、研修内容は保護者からのカスハラ対応と考えていただいてかまいません。

 

所属する各弁護士が、幼保業界に関連する法律に精通するだけでなく、幼保業界特有のトラブル、幼保業界の専門知識やよくある問題にも精通していますので、一般的なカスハラ研修のように「言っていることはわかるけど、一般論すぎてどう活かせばいいのかよくわからない」というストレスを感じません。

また、研修について事前にご要望を伺い、各事業所様・団体様にあわせてカスタマイズした研修を実施することが可能です。これまで、全国の数百の顧問先様はじめ、幼保関連団体や行政、社会福祉協議会などの皆様に弁護士法人かなめの研修サービスをご利用いただいています。弁護士一人一人が幼保事業に精通し、豊富な研修講師実績を有しております(2025年は幼保や福祉のほか様々な業界の事業所様・法人様向けに年間約70件近い研修を実施)。

現在、カスハラ研修の講師をお探しの幼保事業者様や協会団体・自治体様は、弁護士法人かなめの「かなめ研修講師サービス」のWebサイトを是非ご覧ください。

 

▶参照:幼保特化型弁護士による幼保業界向け「かなめ研修講師サービス」はこちら

 

 

10−4.実際のカスハラ事案への対応

実際にカスハラ事案が発生した場合は、迅速でかつ適切な初期の対応が肝心です。初期対応を誤り、不適切な対応をしてしまうと、利用者やその家族との関係性を悪化させたり、さらなるハラスメント行為を誘発したりする可能性もあります。

弁護士法人かなめでは、職員からカスハラ行為かもしれない、といった事案が発生した場合、初期の段階から相談を受けて、事案に合った助言をすることができます。

 

10−5.幼保事業者の法務面を総合的にサポートする顧問弁護士サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、「カスタマーハラスメントに対するサポート」をはじめとする、幼保現場の法務面を総合的にサポートする顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

具体的には、トラブルに迅速に対応するため「Chatwork(チャットワーク)」を導入し、園内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

そして、弁護士と園の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。直接弁護士に相談できることで、園内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

 

▶参照:幼保現場の法務面を総合的にサポートする顧問弁護士サービス「かなめねっと」については以下をご参照ください。

・顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

 

10−6.弁護士費用

 

(1)顧問料

  • 顧問料:月額6万5000円(消費税別)から

※職員の方の人数、事業所の数、業務量により顧問料の金額は要相談とさせて頂いております。詳しくは、以下のお問合せフォームまたはお電話からお問い合わせください。

 

▶お問い合わせフォームはこちらから

 

 

また、顧問弁護士サービス以外に弁護士法人かなめの弁護士へのスポットの法律相談料は、以下の通りです。

 

(2)法律相談料

  • 1回目:3万円(消費税別)/1時間

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。

 

※法律相談は、「1.弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「2.ZOOM又はGooglemeetsの面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

※幼保事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方か らのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

▶お問い合わせフォームはこちらから

 

 

11.まとめ

2026年10月1日からの「カスハラ対策の義務化」は、幼保現場にとっても避けては通れない最優先の経営課題です。この記事では、カスハラ対策の義務化について説明し、その具体的な対応方法について解説しました。

これまで、保護者からの理不尽な要求や過度なクレームに対し、「穏便に済ませたい」「保護者だから多少の苦痛は我慢するしかない」と、現場職員の忍耐に頼ってきた園も少なくないでしょう。しかし、そうしたカスハラへの対応の放置が、貴重な人材の離職や職員のメンタルヘルス不調、ひいては園名公表や安全配慮義務違反による損害賠償といった、園の存続を揺るがす甚大なリスクに直結する時代になったのです。

間もなく迎える施行日に向けて、残された時間は決して多くありません。カスハラ対策の義務化について園の皆さんは一人で悩む前に、まずは幼保業界の法務に精通した専門家の力を借りることを強くおすすめします。

幼保業界に特化した弁護士法人かなめでは、数々のカスハラに関するご相談に対応してきた実績があります。迅速で的確なアドバイスをするだけでなく、場合によっては対応窓口を代行することも可能です。また、カスハラに正しく対応できるような研修の実施や、対応マニュアルの作成サポートも行っています。

カスハラへの対応にお困りの園の皆さん、将来的なリスクを考えて対策を検討したい園の皆さんは、ぜひこの記事をご覧いただき、弁護士法人かなめまでご相談ください。

さらに、弁護士法人かなめでは、チャットを使用して、日々の悩み事をいつでもご相談いただける顧問弁護士サービス「かなめねっと」を提供しています。法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応する体制を構築し、幼保業界に精通した弁護士が対応にあたります。「かなめねっと」に興味を持たれた方は、まずは気軽にお問い合わせ下さい。

 

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モンスターペアレント対応、児童保護者との契約に関するトラブル、保育事故、債権回収、労働問題、感染症対応、不適切保育などの不祥事対応、行政対応 etc....幼保現場で起こる様々なトラブルや悩みについて、専門の弁護士チームへの法律相談は、下記から気軽にお問い合わせください。
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弁護士法人かなめでは、「幼保業界に特化した弁護士」の集団として、幼保業界に関するトラブルの解決を幼保事業者様の立場から全力で取り組んで参りました。法律セミナーでは、実際に幼保業界に特化した弁護士にしか話せない、経営や現場で役立つ「生の情報」をお届けしますので、是非、最新のセミナー開催情報をチェックしていただき、お気軽にご参加ください。

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幼保特化型弁護士による「かなめ研修講師サービス」 幼保特化型弁護士による「かなめ研修講師サービス」

弁護士法人かなめが運営している社会福祉法人・協会団体・自治体向けの幼保特化型弁護士による研修講師サービス「かなめ研修講師サービス」です。顧問弁護士として、全国の幼保事業所の顧問サポートによる豊富な実績と経験から実践的な現場主義の研修を実現します。

社会福祉法人の研修担当者様へは、「職員の指導、教育によるスキルアップ」「職員の悩みや職場の問題点の洗い出し」「コンプライアンスを強化したい」「組織内での意識の共有」などの目的として、協会団体・自治体の研修担当者様へは、「幼保業界のコンプライアンス教育の実施」「幼保業界のトレンド、最新事例など知識の共有をしたい」「各団体の所属法人に対して高品質な研修サービスを提供したい」などの目的として最適なサービスです。

主な研修テーマは、「モンスターペアレント対応研修」「各種ハラスメント研修」「不適切保育・不祥事対応に関する研修」「保育事故に伴うリスクマネジメント研修」「個人情報保護に関する研修」「各種ヒヤリハット研修」「メンタルヘルスに関する研修」をはじめ、「課題に応じたオリジナル研修」まで、幼保事業所が直面する様々な企業法務の問題についてのテーマに対応しております。会場またはオンラインでの研修にご対応しており、全国の社会福祉法人様をはじめ、協会団体・自治体様からご依頼いただいております。

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この記事を書いた弁護士

幼保業界に特化した「弁護士法人かなめ」運営の法律メディア「かなめ介護研究会」

畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
企業側の立場で幼保事業所の労務事件や保護者対応事件を担当した経験から、幼保事業所での現場の悩みにすぐに対応できる幼保事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、幼保業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「幼保事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。

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幼保事業者の
重大事故・不敵保育対応

著者:弁護士法人かなめ
・代表弁護士 畑山 浩俊
・副代表弁護士 米澤 晃
・弁護士 中野 知美
・弁護士 南川 克博
発行元:中央経済社


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